COLUMN

【特集:OPUS OF THE YEAR 2017】100枚では語り尽くせない2017年の音楽トピック

混迷した現代に響くアメリカーナ

 ジャック・ホワイトやブラック・キーズ、そしてフリート・フォクシーズらがアメリカン・ルーツ色の強いサウンドをヒップなものとしてアリにしてきた……というこれまでの流れを踏まえつつ、そこにトランプ政権への不安や不満も重なり、2017年は〈古き良き米国〉に思いを馳せるアメリカーナ作品が数多く登場。その様子をヴェトナム戦争の最中に花開いたシンガー・ソングライター・ブームと重ねる向きもありました。

 特に印象深かったのはナッシュヴィルを拠点としたダン・オーバックのソロ・ワーク、フリート・フォクシーズやウォー・オン・ドラッグスのメジャー移籍、〈テン年代のボブ・ディラン〉なんて異名を持つコートニー・バーネットとカート・ヴァイルの共演でしょうか。また、アリエル・ピンクやアレックスGといったインディー界のカリスマが、先鋭性に代わってノスタルジーを求めはじめたのも偶然ではないはず。もちろん新たなスターも登場していて、日本デビューを果たしたジュリアン・ベイカーとフィービー・ブリジャーズの2人がとりわけ大きな注目を集めています。 *山西絵美

ジュリアン・ベイカー『Turn Out The Light』収録曲“Appointments”

 

KAKUBARHYTHM15周年

 YOUR SONG IS GOODやSAKEROCK、ceroらを輩出し、日本のインディー・シーンに大きな刺激を与えてきたKAKUBARHYTHM。その設立から15周年を迎えた2017年は、記念ライヴ・ツアーと並行して怒涛の連続リリースを行い、ますます勢いづく彼らの現状を提示した。思い出野郎Aチームやmei eharaといった新たな顔からレーベルの新陳代謝の良さを感じさせる一方で、中堅どころのキセルは自身の世界観をバンド・メンバーと共に深化。さらには、スカートのメジャー・デビューというトピックもあったり……2018年もよりフレッシュな動きを期待したい。 *土田真弓

思い出野郎Aチーム『夜のすべて』収録曲“ダンスに間に合う”

 

オリジナル・シューゲイザー世代のカムバック

 ウルリッヒ・シュナウスらによってシューゲイザーが見直されるようになったのは10年以上も前のこと。以降もフィードバック・ノイズは鳴り続け、大成功を収めたマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの復活を皮切りに、ここ数年はオリジナル世代の再結成が相次いだわけです。そして2017年、レジェンドたちが口裏を合わせたかのように約20年ぶりのスタジオ作品を発表。スロウダイヴやライドはアンビエント要素を採り入れて後進のドリーム・ポップ勢と共鳴してみせ、ジーザス・アンド・メリー・チェインはあくまでも我が道を貫き……と、それぞれの方法で音楽シーンを盛り上げてくれました。また、知名度では彼らに劣るものの、シークレット・シャインやディアダークヘッドの新録盤が登場したことも追記しておきたいトピック。そのリリース元が新人バンドの育成を通じてニューゲイザー人気に貢献してきたUSのセイント・マリー、というのも良い話じゃないですか。 *山西絵美

ライド『Weather Diaries』収録曲“Charm Assault”

 

40周年プレイリスト
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