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「オール・アイズ・オン・ミー」から知るアウトロウズ

 2パックの遺志をさまざまな角度から継承しているアーティストは世界中にいるはずだが、その影響をもっとも身近で直接的に受け継いだ連中といえば、彼が晩年を共に過ごしたニュージャージーのクルー、アウトロウズが挙げられる。マキャヴェリを名乗った2パックに合わせて各々が反米/反体制的な別名を名乗り、ヤフー・フラーはヤキ・カダフィ(リビアのカダフィ大佐より)、フェイタル・フセイン、EDI・ミーン(ウガンダのイディ・アミン大統領より)、カストロ、ナポレオン、ヤング・ノーブル(最後に入ったため反体制ネームは付けてもらえず)といった面々を擁していた。もともとはサグ・ライフからの流れで継兄のモプリームはコマーニ(イランのホメイニ師より)、ビッグ・サイクもムッソリーニとして在籍していたものの、両名はパックの生前にアウトロウズを離脱している。

 96年、パックが狙撃された時に後部座席に座っていたカダフィはその2か月後に銃死し、フェイタルはグループを脱退してニュージャージーへ帰っている(98年に活動を再開してソロ・デビュー)。残った4人はアウトロウズなるレーベルを立ち上げ、グループのアルバムやソロ作を重ねてきた。その途中ではナポレオンがムスリムになるため脱退。一方、ソロ・デビュー後にさまざまなレーベルを転々としたフェイタル・フセインは付かず離れずの時期を経て2010年にグループ復帰を果たすも、2015年に自動車事故で亡くなっている。なお、アウトロウズ脱退後もメンバーたちとは良好な関係を保っていたビッグ・サイクはソロ活動を行いながら一時はサグ・ライフ+アウトロウズ=サグ・ロウなるプロジェクトも推進していたが、昨年亡くなったばかりだ。

 現在のアウトロウズはパックの死後作品において音楽監督も務めることも多かったリーダー格のEDI、そしてヤング・ノーブルのコンビで活動しており、2017年にはグループ名義の作品を出したほか、ノーブルはクレイジー・ボーンとのデュオ作も残している。知らなければほとんど目立たないものの映画「オール・アイズ・オン・ミー」には本人役(!)で出演しているので、これから映画を観る人は要チェックだ。