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DISCOGRAPHIC 2PAC
2パックを知るための17枚

2PAC 2Pacalypse Now TNT/Interscope(1991)

ショックGやビッグD、ロウ・フュージョン、ライヴ・スクワッドらデジタル・アンダーグラウンド軍団の面々がガッチリ後見したファースト・アルバム。熱を帯びた歌い口で迫る“Brenda's Got A Baby”や急進的な“Words Of Wisdom”など、社会問題に対して真摯なメッセージを投げかける姿に後のパックらしい余裕はないが、粗削りな気迫は生々しく伝わってくる。元相棒のレイ・ラヴも参加。

 

2PAC Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z... TNT/Interscope(1993)

デジタル・アンダーグラウンド作法の気怠いレイドバック・ヒット“I Get Around”、DJダリル作の女性讃歌“Keep Ya Head Up”という2大名曲を収めた飛躍のセカンド・アルバム。前作の基本線を往きつつボブキャットやレイ・ロウらギャングスタ・ラップ系の人脈も参入し、ここに迎えたアイス・キューブ&アイス・Tを追随するメジャー感も手にして一気にスケールアップした一枚だ。

 

THUG LIFE Volume 1 Out Da Gutta/Interscope(1994)

ビッグ・サイクやモプリームらと結成したユニットでの唯一のアルバムで、ストレッチと設立した新レーベルからのリリース。曲ごとに陣容はバラバラながら、冒頭の“Bury Me A G”から大ぶりなネタ使いを中心にソウルフルにまとめ上げている。“How Long Will They Mourn Me?”ではネイト・ドッグと絡み、パックのソロ曲“Pour Out A Little Liquor”ではジョニーJと初の手合わせも。

 

2PAC Me Against The World Out Da Gutta/Interscope(1995)

収監前に作り終え、獄中で全米No.1を記録した型破りな3作目。死を身近に感じながら世界を敵に回した作りは劇画的にも思えるが、敵意や苛立ち、疎外感などを放り込んだ各曲のノリは録音時の常ならぬテンションを容易に想像させる。トニー・ピザロ製のメロウな“Dear Mama”、ソウルショック&カーリンによる表題曲、ショックGとの“So Many Tears”など、哀愁漂う代表曲の揃った名盤だ。

 

2PAC All Eyez On Me Death Row(1996)

出所した95年10月13日からスタジオ入りし、2週間で録り終えたという2枚組27曲のデス・ロウ・デビュー作。ドクター・ドレーの手掛けた“California Love(Remix)”と“Can't C Me”はいずれも最上級のGファンクで、ダズやデヴァンテ、DJクイックの仕事もいいが、やはりジョニーJ製ビートでのメロディアスな歌い口は格別。ベイエリア仲間やNY人脈ら豪華ゲストに埋もれないエナジーも凄い。

 

MAKAVELI The Don Killuminati (The 7 Day Theory) Death Row(1996)

亡くなる前の8月上旬に計7日間で作り終えていたとされる、マキャヴェリ名義の遺作。盟友ジョニーJではなくダリル・ハーパーやハート・エム・バッド、ディミートリアス・シップらと集中して一気に録ったため、怒りや緊張感の封入を優先したロウな聴き心地になっている。ドレーやジミー・ヘンチマン、ナズらを口撃する一方、QD3との名曲“To Live & Die In L.A.”には哀愁も滲ませる。

 

2PAC R U Still Down? Amaru(1997)

母のアフェニが監修する格好で編纂された初の未発表曲集。93年のシングルB面曲をリアレンジしたスピリチュアルな名曲“I Wonder If Heaven Got A Ghetto”を除けばラップはすべて初出で、ライヴ・スクワッドやサグ・ライフ、ドラマサイダルらとの録音が往時のヴィジョンを窺わせる。直情的なワルさが控えめなのは、デス・ロウ入り前の音源だからか、あるいは母の理想像なのか。

 

2PAC Greatest Hits Amaru/ユニバーサル(1998)

今回の映画公開に合わせて新装リイシューもされたベスト盤で、各アルバムからの主要トラックを2枚組に網羅しつつ、シングルB面曲の凶烈なディス・チューン“Hit 'Em Up”も収録。MCハマー用に書いていた温かい“Unconditional Love”など4つの未発表曲も目玉で、特に92年録音をベースにしたビッグD製の“Changes”はパックのポジティヴな側面を強調する代表曲のひとつとなった。

 

2PAC,THE OUTLAWZ Still I Rise Interscope(1999)

95~96年8月までの録音を編集したアウトロウズとの連名作で、グループにとっては初のアルバム。故カダフィを含むメンバーやビッグ・サイクらがボスを囲み、いつも以上にリラックスした2パックのノリもレコーディング状況の良い空気感を忍ばせる。ジョニーJやQD3らのいい仕事が並び、なかでもソウルショック&カーリンによる曲名通りの“Baby Don't Cry(Keep Ya Head Up II)”が絶品だ。