〈アンビエント〉という言葉、自分が高校生の頃は周りにたくさんあったような気がするのですが(2008年、STUDIO VOICEがアンビエント特集やってたなあ)、最近その言葉を聞く機会も少し減ったような気がします。知らないと取っ付きにくいジャンルな気もしますが、ビビオの新譜がそんなジャンルのわりにめちゃくちゃ聴きやすかったので、今回はそちらを起点に3枚を。すべて角度高めですのでぜひチェックしてみてください。歌ナシ、リズムナシの音楽に触れてこなかった方の入門編としても。

BIBIO Phantom Brickworks Warp(2017)

いや~ビックリしました。ビビオが何年か書き溜めていた即興に近い楽曲集とのことなんですが、そんな情報抜きでもスッと引き込まれた作品です。普段の作風とは一線を画したアンビエント・ドローン集。某サブスクリプション・サービスで再生を始めたらグイグイ引き込まれていってしまい、新譜アルバムでは久々にLP盤でも購入。めちゃめちゃ聴きやすい。最近の読書タイムには基本これがかかってます。

 

slomos slomos felicity(2017)

そんな名盤に全然負けてない、speedometer.こと高山氏の新名義=slomosのデビュー・アルバムがこちら。普段のエレクトロニックな雰囲気からさらにエクスペリメンタルに寄せた5曲の短編集。とは言いつつも全曲リズム感も程良い感じで残してあり、非常に聴きやすい仕上がりです。ちなみにマスタリングは拙作ミニ・アルバム『STAKEHOLDER』も手掛けてくださったyoriさん。こちらも冴え渡ってます。同タイムライン上にある〈時の鬼マグレ〉で13年ぶりにリリースされたSPDILLの新作『LULLABY』もチェックを。

 

Susumu Yokota Sakura skintone(1999)

今回の並びに挙げられそうな作品といえば、自分の中だとこちら。高山氏と同じくクラブ・トラックでも素晴らしい足跡を残している横田氏のアンビエント・アルバムです。2年前の訃報を聞いてから後追いで知った作品なのですが、その色褪せなさすぎる仕上がりに驚きました。どの曲も一度再生を始めたら、その流れを止めることをためらわせるような内容で、優しい耳触りなのになぜか少し恐ろしくも思えるような深さも孕んでいます。

 


tofubeats(トーフビーツ)
90年生まれ、神戸在住のトラックメイカー。2017年は自身のアルバムと配信EPのリリースをはじめ、平井堅や藤井隆、NGT48、堀込泰行らの楽曲、さらにはTVアニメ「クラシカロイド」使用曲やCMソングなどなどを手掛け、神戸市の公式プロモーション曲“kobebeats”のアレンジも担当しました。そんな活躍の年を締め括る一枚として、アルバム『FANTASY CLUB』(unBORDE)のアナログ盤もリリースしたばかり。新年の予定は〈tofubeats.persona.co/〉でチェックしましょう!