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あの頃のリヴァイヴァリストたちは、いまどうしてる?

 2000年代初めに台頭したロックンロール・リヴァイヴァル勢の現在を確認してみましょう。まずはブームの火付け役、ストロークスから。ディスコ・ファンクやチルウェイヴを盛り込んだ2013年作『Comedown Machine』以降、本隊のリリースは止まっているものの、かねてより外部ワークに積極的だったジュリアンとアルバートに加え、ニックはCRX、ニコライはサマー・ムーンなるグループを始動。それぞれギター・サウンドへ回帰し、『Comedown Machine』に戸惑うファンの心を取り戻しています。

 続いて元ホワイト・ストライプスのジャックは、ブルースに軸足を置いてUSルーツ道を探究中。2017年には主宰するサード・マンからメンフィス・ジャグ・バンドやブラインド・ウィリー・ジョンソンの音源集を出し、インディー・アメリカーナ人気に沸く世間へ向けて〈歴史も重んじよう〉と訴えました。その現行アメリカーナ・ブームをジャックと並んで支えるブラック・キーズは、バンドのお休みを利用してナッシュヴィルを拠点に個々の活動に注力。ダンはカントリー/フォークなソロ作『Waiting On A Song』を発表し、パトリックはカレン・エルソン(ジャックの元妻)やミシェル・ブランチらのプロデューサーとして腕を揮っています。このようにガレージ・ロックから歴史を遡るような動きを見せるジャックやブラック・キーズの両名と合わせて気に留めたいのが、ニック・セスター。ジェット再始動の翌2017年に投下した初のソロ作『Sugar Rush』での、サイケなリズム&ブルースが本当にカッコ良くて!

ニック・セスター『Sugar Rush』収録曲“Eyes On The Horizon”

 一方、深化ではなく進化を選んだ面々にも触れなければ。2004年の喧嘩別れから奇跡のリユニオンを果たしたリバティーンズは、2015年作『Anthems For Doomed Youth』で紳士的なピアノ・バラードを盛り込み、これまでとは違う一面をアピール。また、ヴァインズのクレイグはエンパイア・オブ・ザ・サンと組んだホワイト・シャドウズで昨今のトロピカル気分を咀嚼し、キルズはエレクトロ化に拍車をかけ、かつて〈南部のストロークス〉と謳われたキングス・オブ・レオンはコールドプレイ的なキラキラした昂揚感を体得……といった具合で、向かう先は皆さんバラバラですが、何にせよ、いまも多くのアーティストが音楽業界に残っているのは凄いことですよね! *山西絵美

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