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【IN THE SHADOW OF SOUL:ソウル・ミュージックの光と影】[第103回]栄光のプライド

不朽のブレイク“Apache”の広がり

 もともとヒップホップ勃興期にNYのDJらによって〈発見〉されてBボーイ(ブレイクダンサー)のアンセムとして愛され、近年では〈高校生ラップ選手権〉でOPテーマに使われていたことも記憶に新しい、インクレディブル・ボンゴ・バンドの“Apache”。シュガーヒル・ギャングのラップ・リメイク(81年)を筆頭に数百曲でサンプリングされ、ブレイクビーツの定番中の定番となった。流石に定番化しすぎて90年代以降のリサイクル例はそう多くないが、ナズ“Made You Look”(2002年)、ジェイ・Z&カニエ ・ウェスト“That's My Bitch”(2011年)のように、そのビートを使う行為自体が正統性の演出や意志表明となる、〈意味のあるネタ〉としての地位も盤石だ。

 一方、90年代にその汎用性を見い出したのはドラムンベースやビッグ・ビート、IDM方面の送り手たちで、エイフェックス・ツイン“Heliosphan”(92年)で確立されたアーメン・ブレイクと比肩するほどの需要は、今年出たquarta330の“Resonate 3”でも確認できたところだ。さらに別の階に移動すれば、フィジェット・ハウスの礎となったスウィッチ“A Bit Patchy”(2005年)での超絶モロ使いも思い出深い。 *出嶌孝次

関連盤を紹介。

 

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