INTERVIEW

ジョン・ビーズリー インタヴュー―セロニアス・モンクの音楽と真正面から取り組む〈モンケストラ〉で2作をリリース

Photo by Yuka Yamaji

 

モンクの作品から新発見のお宝を発掘

 音楽一家に生まれ、子供の頃から様々な楽器を習得し、14歳でノース・テキサス大学のジャズ・バンドに楽曲を提供した早熟の才人ジョン・ビーズリーが、ジャズ史上最大の異端児セロニアス・モンクの音楽と真正面から取り組むべく結成した〈モンケストラ〉で2枚のアルバムを発表。11月にはブルーノート東京で公演を行った。モンクの音楽に潜む様々な要素を鋭い洞察力で抽出し、熟練の手腕で編曲してみせた作品は圧巻だ。

JOHN BEASLEY MONK'estra Vol.1 Mack Avenue/キング(2017)

JOHN BEASLEY MONK'estra Vol.2 Mack Avenue Records(2017)

 「モンクの音楽には、新鮮な素材がたくさん含まれている。金の鉱石がたくさん掘り出せるんだ」

 〈モンケストラ〉の結成は2013年だが、ビーズリーがモンクの音楽と最初に取り組んだのは1980年代の終わり頃、セシル・テイラー(ピアノ)などとの共演歴を持つビュエル・ネイドリンガー(ベース)が組んだ〈セロニアス〉というカルテットに参加した時だった。そして、その音楽を様々な形で取り上げる可能性が見えたのは、94年にスティーヴ・カーデナス(ギター)とのデュオで『10/10』を録音したのがきっかけだったという。

 「モンクを初めて聴いたのは、彼がソニー・ロリンズと録音した『ワーク』だった。僕はまだ10歳だったけれど、ユーモアを感じたよ。ある意味、子供っぽいっていうのかな。《13日の金曜日》は冗談っぽくて笑えたけれど、何度も繰り返して聴けたのは音楽が強力にスウィングしていたからで、そのおかげで不協和音もすんなりと受け入れられたんだと思う」

 〈モンケストラ〉の編曲がスウィングはもちろん、ニュー・オーリンズのセカンド・ラインや、モンクの生前には存在しなかったネオソウルなど、様々なグルーヴを基調にしているのも、少年だった彼がグルーヴを通じてモンクの音楽に入っていったことと無関係ではないだろう。とはいえ、モンケストラが誕生したのは全くの偶然で、譜面作成ソフトの使い方を覚えようと、試しにモンクの“エピストロフィー”をビッグバンド用に編曲してみたのがきっかけだった。

 「ピアノで編曲すると、自分が知っていることだけで完結してしまうから、ピアノからは離れるようにしている。全体の構成やベースライン、リズムなんかの基本的なアイディアは、口ずさんだのをiPhoneに録音しておくけれど、譜面ソフトは編曲したものをすぐに再生して確認できるのが便利なんだ。それで、“エピストロフィー”の編曲が気に入って、リハーサル・バンドを組んで実際に音を出してみたら手応えが良くて、そうこうするうちにライヴの話が来るようになったというわけ」

 〈モンケストラ〉でできることはまだありそうだが、『Vol.3』の予定は「成り行き次第」とのことである。

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