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互いに補い合えた

 「ANSWERのラップは言いたいことがわかりやすく伝わってくるし、レコーディングでもリズム感がズバ抜けてすごいと思いましたね」(EINSHTEIN)。

 「あざっす! 逆にアインはラップもできて、なおかつサビをキレイに歌い上げられる歌のスキルが武器だと思う」(言xTHEANSWER)。

 互いの持ち味について評する二人。「俺は攻撃的な歌詞が好きなので、ムカつく奴はムカつくっていうのをラッパーとしてちゃんと表現したいんですけど、それにアインが乗ってくれて」(言xTHEANSWER)出来たという辛辣な口撃曲“WeAre-A”は言xTHEANSWERらしさが前面に出ているし、一方でリード曲の“To U”はEINSHTEINのソロ作品に通じるジャパレゲ風味の温かなラヴソングに仕上がっており、それぞれの得意な分野を持ち寄ることで相方の新しい部分も引き出すコンビの妙が活きている。

 「お互いにないものを補い合ってやれてるので勉強にもなりますし、もしずっとソロでやってたら僕は攻撃的なラップを書かなかったと思うんですよ。逆にANSWERもソロでこういうポップス系のラヴソングを作ろうとはしなかったと思うし」(EINSHTEIN)。

 他にも、言葉をタイトに刻むANSWERとメロディアスに流すEINSHTEINの対照的な魅力が際立ったEDMテイストの“PARTY TAG”といった新機軸があるなか、もっとも心を震わされるのは終盤の2曲だろう。「ANSWERのヴァースが深いことを言ってて、心にズンズンと突き刺さる歌詞なんですよね」(EINSHTEIN)という“BE”は、不安に苛まれながらも前進する彼らの覚悟が詰まったドラマティックな一曲。そしてラストの“花は咲く”は自分たちと同じように新生活を送る人々に向けられており、音や歌詞に込められた昂揚感が聴く者を鼓舞する。

 「いままでは自分の考えを言ったり、〈俺はこうだぜ〉って主張する曲が多かったんですけど、この曲では初めて自分と同世代の新社会人の気持ちになりきって歌ってて」(言xTHEANSWER)。

 「こういう勇気をもらえたり、悔しいことがある中でもがんばろうぜっていう曲が個人的にすごく好きなんですよ。ちなみに僕、今年成人式で大阪の実家に帰ったんですけど、そのとき母にアルバムを聴かせたらこの“花は咲く”で泣いてくれました」(EINSHTEIN)。

 「それ、めっちゃいい話だねー!」(言xTHEANSWER)。

 彼らの日常と進行形の心情がストレートに刻まれた本作には、きっと老若男女問わず惹きつける魅力があるのだろう。いまはまだ〈ポーン〉の二人だが、いずれは〈キング〉になる日がくるのかもしれない。

 「次のアルバムでもう『Two Kings』になってて〈こいつらナメてるな〉とか言われたいよね(笑)。それで〈うるせえ!〉って“フルボッコ2”みたいなのを出したりして。でも、どんなメロディアスなものやポップな曲をやっててもマインドはラッパーだと思ってるので、僕らは打たれ強いですし、自分たちのやりたいことをやるだけですね」(言xTHEANSWER)。