多方面に及ぶチョップド&スクリューの流れと変遷

DJ SCREW All Work No Play Jam Down(1999)

2000年に没したレジェンドが生前に残した数少ない公式ミックスCDの1つ。リル・キキやファット・パットらスクリュード・アップ・クリック(SUC)関連曲を中心に、遅くするだけじゃないDJミックスのヤバさでドップリ聴かせる。

 

AK-69 Live For Da Hustle MS(2006)

H・タウンの音が全米で盛り上がった時代には、日本にもその熱が波及。いち早く音源でもリアクションしていたAK-69は、同地のビリー・クックを迎えた本シングルにチョップド&スクリュードのリミックスを収めてもいた。

 

T-PAIN Thr33 Ringz Nappy Boy/Konvict/Jive(2008)

本作に収録されたスロウ“Chopped N Skrewed”はトラックにチョップ&スクリューの快感を採り入れるだけでなく、リュダクリスのラップも含めた疑似チョップ歌唱も効いたヒット曲に。めちゃくちゃクリエイティヴ。

 

SALEM King Night IAmSound(2010)

ウィッチハウスの元祖となるシカゴのサタニック集団の傑作。サグいシューゲイズ・ラップと不気味に伸縮する音響派ダークウェイヴを組み合わせたホーリーなチョップ&スクリュー感がストレートにカッコイイ。

 

MICACHU & THE SHAPES Chopped & Screwed Rough Trade(2011)

ロンドン・シンフォニエッタとのコラボをスロウに仕上げた実験作。表題ほどの快楽性はなく、ピッチ変調によって同時代のダビーな音像に寄せることが主眼となったか。ミカ作の映画スコア『Jackie』(2016年)にも通じる出来。

 

!!! R!M!X!S BEAT(2013)

彼らのダンス回帰盤として評判になった『Thr!!!er』派生のリミックス集。メイン・アトラクションズのラップを新たに乗せた“Californiyeah”は原曲のパーカッシヴな構造も活きたマイルドなチョップ&スクリュー仕立てに。

 

NICHOLAS BRITELL Moonlight Invada/ランブリン(2017)

映画本編のアカデミー賞獲得と合わせて音楽面でも評判になった「ムーンライト」のサントラ。ニコラス・ブリテルの手掛けたスコアの一部はチョップ&スクリューの手法を採り入れて加工されている。

 

LIL' KEKE Slfmade 7Thirteen/Wreckshop Nation/Hustletown(2016)

往時と違って公式CDまで出る機会は少なくなったスクリュー盤だが、本作はレギュラー盤とセットの2枚組。OGロンCによる〈Chopped Not Slopped〉仕立て。そうじゃなくてもSUCマインドが端々に漲るH・タウンの王道盤だ。

 

Z-RO Codeine One Deep/Empire(2017)

キキと同じSUC出身の彼はドレイクも憧れたという天然スクリュー声のOG。この最新作にはDJスクリューらに捧げた“So Houston”が収録されている。通常速度でもチョップ&スクリューの要素満載なのがH・タウンの王道だ。