COLUMN

モルゴーア・クァルテット 『原子心母の危機 Atom Heart Mother is on the edge』

弦楽四重奏が織りなす「一流/Classic」と「先進/Progressive」の邂逅

 2012年にリリースされた強烈な一枚『21世紀の精神正常者たち』。あのパンチの効いたジャケットを見れば、なかなかに忘れることはできないが、それ以上に美しくも狂おしい弦楽四重奏という響きで奏でられたプログレッシヴ・ロックの名曲は本当に素晴らしい音楽だった。

モルゴーア・クァルテット 原子心母の危機 Atom Heart Mother is on the edge Columbia(2014)

 そんなメイバン(迷盤?名盤!)の誕生から2年、またしても彼らが動き出した。モルゴーア・クァルテット待望の「弦楽四重奏によるプログレッシヴ・ロック」アルバム最新作は『原子心母の危機』。前作はKing Crimson『クリムゾン・キングの宮殿』に焦点を当てていたが、今作はタイトルからもおわかりの通りPink Floyd『原子心母』とYes『危機』を表題にしている。これまたどちらもプログレッシヴ・ロック史上屈指の名盤にして名曲だ。やっぱり彼らは外さない!

 今回僕が強く心を打たれたのはトラック3の「平和〜フォーリン・エンジェル」。個人的に僕自身がKing Crimson『レッド』をこよなく愛聴しているというのもあるのだが、この楽曲の旋律美というものを弦楽にトレースした時こんなにも美しく映えるのかと驚愕した。胸を締め付けられるような、甘美ともメランコリーともいえる響き。モルゴーア・クァルテットの力を強く感じると共に、「あぁやっぱりクリムゾンはいい曲書くなぁ」と改めて実感できる。もちろん前述のフロイド、イエス含む全曲も間違いないアレンジだ。弦楽四重奏として生まれ変わった姿を是非とも楽しんでいただきたい。

 これは持論だが、プログレッシヴ・ロックというものは音楽という芸術形態の一つの完成形だと信じている。旋律・構成・響き・歌詞・メッセージ、全ての要素に「完璧」と「遊び心」が共存している。そんな音楽に対し一流の技術を持った演奏者たちが、敬意と「完璧」と「遊び心」を以て挑む。この音楽の邂逅こそ僕ら音楽愛好家には堪らない瞬間ではないだろうか。今作もきっとその堪らない瞬間を感じさせてくれることだろう。

 


 

LIVE INFORMATION

『「原子心母の危機」ライヴ !!』
○6/26(木)
第一部 13:30 開場/14:00 開演 
第二部 16:30 開場/17:00 開演
会場:浜離宮朝日ホール

www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

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