妻を失い感情が表に出なくなった父親、母親を亡くし父親と自分の身体を嫌う娘、人々を治療しながらもぽっかりと空いた心を持つセラピスト。この喪失を抱えた孤独な三者の物語と聞いて、なるほどよくある類のヒューマン・ドラマかと思ったら、これが大間違い! 例えばオープニング。川辺の木で首を吊って死んだ男が、説明もなくなぜかむっくりと起き上がりどこかへ歩き去るのである! あれ、これシリアスな映画ではないのか!などと思いながらも見ていると今度は心霊現象が! とまあ、こんな感じのけったいな映画が見事ベルリン映画祭で監督賞受賞。俊英監督シュモフスカは今後も大注目である。