全く次元の違う表現を模索する、作曲家・ピアニストのアルフレッド・ロドリゲスの新作。次元は、彼の音楽を他の音楽をその質において区別するために使いたい訳ではなく、あくまで彼の音楽の目指す方向性、ヴェクトルの違いを示すための言葉だ。それほど他の同年代のピアニスト、とくにキューバ出身のピアニストたちとの違いが際立っている。このピアノ・トリオをベースにした新作は、その境地をシンプルに示している。もはやデビュー当時にはりついていたバップの殻は綺麗に落ちて、キューバの音楽を構造的にとりいれた楽曲と演奏マナーが、随所に際立つ。といって難解な音楽が並ぶのではなく、シンプル&リリカル、そして甘いのだ。