トランシー&サイケデリックな新フェイズ

DATS Message RALLYE/SPACE SHOWER(2018)

 中心人物の杉本亘(ヴォーカル/シンセサイザー)ことMONJOEが向井太一やFIVE NEW OLDの楽曲を手掛けるなど外部仕事を活発化させ、一部メンバーが重なるyahyelも確かな躍進を見せるなど、バンド周辺の活況とも相互に作用しながら衆目が注がれている4人組、DATS。結成当初からバンド・サウンドとエレクトロニクスのミックスを追求しつつ、転機となったファースト・アルバム『Application』(2017年)では主としてビート・ミュージックを独自に解釈していた彼らだが、このニュー・シングル“Message”ではハウスと真っ向から対峙。日本語詞もフィーチャーした“Hearts”、ロマンティックなピアノが踊る表題曲というエレクトロニックな4つ打ちの快楽を追求した2曲と、mabanuaによるフューチャー・ソウルなリミックスを収録。さらには2017年のツアーのファイナル公演の模様を収めたDVDも封入される。

 ディスクロージャー然り、ジェイミーXX然り、90年代初頭のハウスへ回帰したようなアプローチは近年のさまざまな文脈で見い出すことができたが、本作は90年代でも末頃を彷彿とさせるトランシーでサイケデリックなサウンドを纏っているのがおもしろい。新たなフェイズを切り拓こうとするアグレッシヴな気概を感じさせて頼もしい限りだが、彼らは本作に続き、6月にはメジャー・デビュー作のリリースも発表している。野心的なこの“Message”を経てどのような展開を見せるのか、今後の動きもしっかり凝視したいところだ。