シャーデーとも比較されたデビュー作から5年ぶりの新作。ロビン・ハンニバルと袂を分かちマイケル・ミロシュの単独プロジェクト的な様相を強めた今回は、前作での密室感から脱却し、近年のライヴ経験を反映して人力感のあるバンド・サウンドをめざしたという。実際にキング・ヘンリーと制作した“Taste”やディスコ調の“Phoenix”はベースラインが躍動するダンサブルな曲だし、前作にも関与したイタイ・シャピラとペンを交えたアップ“Count To Five”にもその気配が色濃い。とはいえミステリアスな雰囲気は相変わらずで、“Waste”や“Please”などではミロシュの憂いを含む繊細で官能的なヴォーカルと共にインティメイトな音空間を紡いでいく。マックスウェルとも距離を縮めたセンシュアルなアルバムだ。