I GOT THE ZOO ON
~『Animal Ambition』にひしめく野獣たち~

KIDD KIDD 『The Reallionaire』 Dream Big Ventures(2011)

3曲で抜擢されているGユニットの若頭は、スカッド・アップ~ヤング・マネーを渡り歩いた喧嘩屋。50の盟友たるシャ・マニーXLに拾われて完成を見たこの初ソロ作では、サグいニューオーリンズ作法をズルズルに剥き出し。マスターPばりの咆哮も頼もしいぜ。

 

SCHOOLBOY Q 『Oxymoron』 Top Dawg/Interscope(2014)

フロウにイーストコースト作法を取り込んだ西のラッパーというと、50とは因縁浅からぬゲームの名が思い浮かぶところだが、そのバイ・コースタルなノリを最前線で発散しているのはTDE軍団になるのか。50の“Flip On You”にこの学童Qが招集されたのも納得だ。

 

YO GOTTI 『I Am』 CMG/Epic(2013)

メンフィスの野獣によるヒット作。このヒット作を後見したのが現在エピックでエグゼクティヴA&Rの要職を担うシャ・マニーXLだと知れば、彼と50のリンクも頷けるところだろう。先行カット“Don’t Worry ’Bout It”では重たい拳を交わしてビートに鈍痛を残す。

 

JADAKISS 『Consignment』 D-Block(2012)

久々のロックス名義EPも記憶に新しいジェイダキスは“Irregular Heartbeat”に客演。GとDの戦友会ムード(?)を象徴するが如く、こちらのミックステープではロイド・バンクスを招いていた。ちなみに、かつての交戦時に彼が50を口撃した曲のタイトルは“Animal”!

 

FREEWAY, JAKE ONE 『The Stimulus Package』 Rhymesayers(2010)

10年以上に渡って50御用達の看板を保持するジェイク・ワンは、シンプルかつ重々しいループで不埒な雄弁を支え続ける一人。当然今回も“Hustler”などのビートを担当している。なお、この名盤で相棒を務めたフリーウェイはGユニットのフィリー支部にいたことも。

 

N.O.R.E. 『Student Of The Game』 Militainment/eOne(2013)

以前のエイペックスのように、新進のビート職人も躊躇なく抜擢するのが50らしさ。新作では、キックオフから2連続でシングルを担当したチャーリー・ブラウン・ビーツに注目したい。彼の仕事ぶりはこのノリ皿やフレンチ・モンタナらのミックステープで確認を。

 

DR. DRE 『2001』 Aftermath/Interscope(1999)

デビュー時から前作所収の“OK, You’re Right”に至るまで、50節とドレー仕事の魔法的な相性はいつも格別だ。新作ではトレイ・ソングズの歌う“Smoke”にて、大ぶりなシンセを纏ったドレー節を轟いてくる。もう誰も『Detox』のことは気にしてないようだが……。

 

WISIN 『El Regreso Del Sobreviviente』 Sony Latin(2014)

新作とは直接関係ないものの、50の最新客演曲となるのがここに収録の“El Sobreviviente”。ダディ・ヤンキーやウィシン&ヤンデルとの合体、ラテン・グラミー出演といった経歴からもわかる通り、広範に広がった50人気の背景にはレゲトン勢との繋がりも重要だ。