New Pop Standard
時代と共に移り変わるポップスの主流。2010年代初頭のオルタナティヴがスタンダードとなった現在、〈次代のポップ〉を担う音はこれですよ!

 2010年代を目前に発生したチルウェイヴのアトモスフェリックな音像ともシンクロし、ダブステップ方面からの歌心を提示したジェイムズ・ブレイクのファースト・アルバム『James Blake』(2011年)。その後のベーシックなスタイルを提示した同作と前後して、インディー・ポップ方面からはハウ・トゥ・ドレス・ウェルやソンらが〈インディーR&B〉とも形容される意匠を定着させていく。並行してウィークエンドやライ、FKAツイッグス、ケレラに至るまで、同じ耳で聴くことのできるアイコンがシーンを越境して次々に登場、その積み重ねによって、そもそもオルタナティヴな位置付けにあった彼らの作法は現代ポップスの標準的なサウンドとして浸透してきた。

 そうした状況の変化も含め、ダフト・パンク“Get Lucky”やファレル・ウィリアムス『G I R L』の影響下にあるソウル/ブギー流儀の一般化や、それと同一線上にある〈シティー・ポップ〉の何度目かの隆盛、さらにはネオ・ソウルや現代ジャズとロック・サウンドのクロスオーヴァーなど、この数年で起こった多方面での動きは、ここ日本においても大きな流れを織り成しつつある。ブラック・ミュージックの滋養を独自に血肉化した星野源、アシッド・ジャズを下地に頂点への階段を駆け上がるSuchmos、オルタナティヴなR&Bを聴かせたN.O.R.Kのヴォーカリストから気鋭の作家へと転身し、4月には宇多田ヒカルのプロデュースでソロ・デビューを控える小袋成彬など、そうした流れはもはや耳の早いインディー・ポップ/ロックの範疇に止まるものではない。そんななか、このタイミングで今後のスタンダードとなる新世代アクトの作品が続々と到着。この特集ではそうした新作群を中心に、〈次代のポップ〉を堪能できる多彩なラインナップを紹介しよう。 *bounce編集部

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