Luby Sparks Luby Sparks AWDR/LR2(2018)

カセットや7インチのリリースで話題を呼んでいた現役大学生5人組。英詞の男女ツイン・ヴォーカル、ネオアコ~シューゲイザーを基調としたスタイルはある意味インディー・ロックの王道だが、正式音源発表前から海外アクトと多数共演し、いきなりヤックのマックス・ブルームのプロデュースによるロンドン録音の初作を完成させるという、このスピード感は非常に現代的である。 *金子

 

羊文学 オレンジチョコレートハウスまでの道のり felicity(2018)

ざらついたオルタナ寄りのギター・サウンドと、愁いを帯びたアンニュイな女性ヴォーカル、青い心象風景を描く独特な筆致の歌詞が魅力の若き男女3人組は、このセカンドEPで早くも新たな次元に到達。特に印象的なのは、アルバム・タイトルのセンスにも顕著な映像喚起力の高さ。トンネルを抜けた先にあったのは、どこまでも道のりが続くハイウェイだった。 *金子

 

iri Juice Colourful(2018)

アレンジに気鋭の作家陣を迎えた楽曲群をスモーキーな歌唱でソウルフルに染めてきた女性シンガー・ソングライターの2作目。小袋成彬らが手掛けたオルタナティヴR&Bや、WONKが関与したメロウ・ソウル、高橋海(LUCKY TAPES)が生っぽいアンサンブルでフューチャー・ベースを再構築したナンバーなど、今回も先鋭的かつグルーヴィーな楽曲がたっぷり。 *澤田

 

向井太一 BLUE トイズファクトリー(2017)

卓越した歌唱力とカリスマティックなルックス、時流を捕まえる嗅覚を持つシンガー・ソングライターは、デビューから程なくして日本のインディー・ポップ/R&Bの最前線に。多くのリスナーが待ち焦がれたこのファースト・アルバムでは、オルタナティヴなR&Bからハウス、バラードなど多彩なアレンジの楽曲を通じて、オーガニックかつ軽やかなソウル感覚を提示した。 *澤田

 

TENDRE Red Focus RALLYE/SPACE SHOWER(2017)

活況を呈する現行ジャズ~ソウルのクロスオーヴァー界隈に感応した新鋭がまた一人。Yogee New Wavesらの作品に関わってきたプレイヤー、川原太朗のソロ・プロジェクトによる初EPは、カヴァーしているサンダーキャットよろしく、心地良いハーモニーと精緻なファンクネスを構築した一枚だ。当人のジェントルな歌声が、洗練された仕上がりに何よりも寄与している。 *澤田

 

WONK Castor epistroph(2017)

J・ディラ以降のビート感覚を持ったジャズとヒップホップの融合に、いち早く日本からの回答を示した4人組。昨年はバンドの持つ〈ポップ〉と〈エクスペリメンタル〉という二つの側面を『Castor』『Pollux』の2作で表現し、特にダンサブルな“Midnight Cruise”をはじめとした前者の開かれた内容は、今後のオーヴァーグラウンドでのさらなる展開を十分に期待させるものであった。 *金子

 

D.A.N. TEMPEST SSWB/Bayon Production(2017)

ブリストル一派を起点にクラウトロックから現行のエレクトロニック・ミュージックまでを参照し、バンド・サウンドにこだわりながらもメロウな日本語詞のポップスに落とし込んできた3人組。この最新シングルはいずれも長尺の4曲を収めており、歌謡曲らしい情緒と湿り気を残したまま、ミニマルなダンス音楽ならではの快楽性を追求することに成功している。 *澤田