INTERVIEW

アントニオ・サンチェス インタヴュー―ドラムで表現するメロディー/音楽への飽くなき実験と挑戦

写真提供/COTTON CLUB 撮影/米田泰久

ドラムで表現するメロディー/音楽への飽くなき実験と挑戦

 ドラマー、アントニオ・サンチェス……パット・メセニーの音楽を支える最重要人物であり、アカデミー賞受賞映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の音楽監督を務めた〈ドラマー〉だ。2015年発表のソロ『Meridian Suite』の〈物語〉を再現する彼のバンド、マイグレーションを率いての来日公演(2017年12月/COTTON CLUB)のタイミングで、最新作『Bad Hombre』について話を聞いた。

ANTONIO SANCHEZ Bad Hombre CAM Jazz(2017)

 本作はサンチェスが一人で作り上げた「アコースティック・ドラムと背景にあるクレイジーなエレクトロニクス(電子音)!」による実験的プロジェクトである。「自分の創作のプロセスをいつもと違う形でやろうと思ったんだ。通常はピアノの前に座ってメロディーを書いて、コードをつけて、構成をある程度作ってっていうやり方だけど、今回はインプロヴィゼーションという無意識の状態で出てきたものを、それを意識の世界で編集するっていうやり方をとった」

 その中心にあるのは――「ドラムがまず礎石にあって、その上に建物を建てていった感じ。ドラマーがドラムから始めるっていう、〈必然〉さ」と言う。

 アルバム最大のトピックは、ドラムに絡むエレクトロニクスとの相乗効果。「アコースティックのドラムの後ろでエレクトロニクスが鳴ってるっていう状況だけでも、興味深い、ユニークなものにはなるよね。もうありきたりなドラムではなくなるんだ。例えば、今回のバンド、マイグレーションでいえば、ピアノ、ベース、ドラムという楽器があって、その3つの音色がある。その3つの音色はすべてモノクロで、その世界でもいろいろな灰色が作れるわけで、それは果てしなく存在するんだけど、そこにエレクトロニクスを持ち込むと、それ以外の色が入ってくる。色が賑やかになるんだ。映画でも、ありのままを美しく撮る人もいるけど、特殊効果でありえないものを表現する人もいる。それと同じくらいの衝撃があるんだ」と語る。

 「ドラマーの数だけ、ドラムから生み出せるメロディーや音楽があると僕は思う。これはドラムという楽器が生み出せるものの幅の広さを追求するための実験であり、ドラマーがどれだけいろんな世界を作り出せるかってことの挑戦でもあった。『バードマン』の経験がなければ、こういう作品を作る勇気もインスピレーションも湧かなかったんじゃないかって正直に思うよ」

 次作には、作曲家、ヴィンス・メンドーサのアレンジによるドイツWDRビッグ・バンドとの共演が控えているそうで「幅広いアーティストでありたいから、いろんなことに挑戦したい。次はどんな違うことをやろうか?ってね」と語る言葉には自信が漲っていた。

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