《バッハ:ヴァイオリン協奏曲》から始まったグラモフォンでの15年の歴史が詰まった2枚組。モーツァルト、アイヴズのソナタからパガニーニ、シェーンベルクの協奏曲、さらにはバッハのアリアにハウシュカとのコラボ、新作の小品集など取り上げる作品の振れ幅が広すぎる。技巧だけではなく古典から現音、ポスト・クラシカルを弾き分けられる広い音楽性が彼女を世界的ヴァイオリニストに上り詰めさせた一つの要因であることを、この「Retrospective」が改めて提言している。初出として収録された《モーツァルト:ソナタK.379》もまさしく至宝の音芸術である。