新世代のチェリストは、プログラミングも一味違う。着実にその存在感を増しつつある若き俊英、エドガー・モローが今回アルバムの1曲目に選んだのは、フランス近代の女性作曲家、リタ・ストロールによる《大ドラマティック・ソナタ》である。ラシーヌの戯曲に基づくという物語性の強いこのソナタは、フランスものには貴重なロマン性を湛えており、プーランクやフランクのソナタにも劣らぬ存在感を放っている。彼は知られざる作品の紹介をモットーとしているそうで、アルバムにはその他ド・ラ・トンベルの美しい小品(サン=サーンスの《白鳥》に似た雰囲気)やプーランクの世界初録音が含まれている。