待望のリーダー作『宇宙』には現在のNYジャズ・シーンを彩るメンバーが多数参加!

 アリ・ホーニグの来日公演にも帯同した気鋭のピアニスト、エデン・ラディンが初のソロ・アルバム『宇宙』をリリースした。エデンは87年NY生まれで、イスラエルのテルアビブ育ち。父親はイスラエルを代表するドラマーのギル・ラディン。メール・インタヴューによると、エデンは父の影響で「ジャズやファンクやフュージョンを聴いて育った」そうで、「4才か5才の頃にはハービー・ハンコックの『Headhunters』を好んで聴いていた」という。

EDEN LADIN 宇宙 AGATE/Inpartmaint Inc.(2017)

 ラディンは5歳からドラムを、9歳からクラッシック・ピアノを習っていたが、ジャズに興味が湧き、名門ニュースクール大学に入学。レジー・ワークマン、ビリー・ハーパー、ウィリアム・パーカー、チャールズ・トリヴァー、ベン・モンダー、リー・コニッツなどに師事した。「大学では1日に5時間から9時間もセッションした」という。

 ラディンは現在ブルックリンに居を構えており、『宇宙』もジョン・エリス、ギラッド・ヘクセルマン、カミラ・メザなど、当地の豪華ミュージシャンが集っている。「ブルックリンという街の混沌とした空気に刺激を受けてできあがった作品」で、「1曲ごとにストーリーがある」という同作は、クラシックとジャズを折衷した今様の表現として成立しているところが素晴らしい。なんでも、作曲の面で影響を受けたのは「ショパン、ボーズ・オブ・カナダ、アラン・ホールズワース、カート・ローゼンウィンケル、バッハ、エイフェックス・ツイン、ハービー・ハンコック、キース・ジャレット、エリック・サティ、ウェイン・ショーターなど」だというから、その音楽的な懐の深さが窺える。実際、本作にはエレクトロニクスが大胆に導入されている。

 特にここ数年ラディンは音楽的にクラシックからの影響を意識するようになったそうで、「アルトゥール・ルービンシュタイン、グレン・グールド、スヴャストラフ・リヒテル、イディル・ビレットといったピアニストを愛聴している」らしい。一方で、ジャズ・ピアニストとして「ハービー・ハンコック、セロニアス・モンク、キース・ジャレット、ポール・ブレイ、アンドリュー・ヒル、ビル・エヴァンス、レニ・トリスターノなど」をフェイヴァリットに挙げている。

 本作は今後ますます活躍するであろうエデンの第一歩として記憶されることだろう。デビュー作ならではの瑞々しさと、長年ライヴやレコーディングで培ってきた老獪さが同居しているのが特徴か。もちろん、ラディンの手札はまだまだたくさん残されているだろう。次はどんな表情を見せてくれるのか、来日公演も含め、今から楽しみでならない。