“青空のラプソディ”のスマッシュ・ヒットも手伝ってか、前作『What a Wonderful World Line』までの〈世界線を巡る物語〉から、さらに外の世界へと地図を広げた感のある3作目。まず表題曲のスティーヴン・スティルス“Love The Ones You're With”をなぞったようなイントロは、リーダーの佐藤純一が影響を受けた渋谷系の精神をモロに感じさせるし、その晴れやかなソウル・ポップで〈一つのラプソディと僕らの物語が/闇夜に灯をともすのさ〉と歌う衒いのなさは、かつての彼らにはなかったものだろう。林英樹という専属の作詞家だけでなくメンバーみずから歌詞を書くようになったのも大きな変化だし、煌びやかな星空が目に浮かぶような新曲“star chart”などを書いたyuxuki wagaの作曲家としての目覚ましい成長も、バンドに新鮮さをもたらしている。towanaのロマンティックな歌声が麗しい“It's a Popular Song”で締め括る構成も含め、日本語ポップスの純然たる良さを形にしたような名品。