INTERVIEW

EMPiRE『EMPiRE STRiKES START!!』 WACKとavexの創造した帝国が、5人組として完成させた最初で最後のアルバムを語る!

左から、YUiNA EMPiRE、MAYU EMPiRE、YU-Ki EMPiRE、YUKA EMPiRE、MiDORiKO EMPiRE

WACKとavexのジャイアント・パワーを駆使してデビュー前から話題騒然の帝国がいよいよ総攻撃を開始! この5人による最初で最後のインタヴューをお届けしよう!

やっとスタートラインに立てた

 BiSHらを擁するWACKとavexが共同で送り出した新グループ、EMPiRE。そもそもは昨年4月のWACK合同オーディションで選ばれた2名を核に、追加募集を受けて3名が合流、8月に結成を発表したフレッシュな5人組です。初お目見えの際も覆面をかぶり、Twitterフォロワーが一定数に達するまで顔を非公開としたり、初音源“EMPiRE is COMiNG”や“TOKYO MOONLiGHT”をWACK代表・渡辺淳之介の歌唱で世に出すなど先例に則ったギミックも見せつつ、11月に初ステージを披露、12月にはBiSHのアイナ・ジ・エンドが振付けを担当した“アカルイミライ”のMVを発表。年明けからはBiSHの全国ツアーにオープニング・アクトとして帯同し、BiSH全員がカメオ出演したポップな“Buttocks beat! beat!”のMVを公開……と、いきなりマイナビBLITZ赤坂という大会場を選んだ初ワンマンの5月1日へ向けて、〈帝国〉の基盤を急速に積み上げている段階です。

 ただ、先達の恩恵とメジャーのスケール感を惜しげもなく活用して名を広げつつ、各人については未知な部分も多いのが正直なところ。当初は従来のWACKらしからぬ〈リア充〉な雰囲気のメンバー揃い?という噂もありましたが……。

YU-Ki EMPiRE「スクールカースト上位って言われてましたね(笑)」

YUKA EMPiRE「言われてただけで、そんなでもないんですよ」

MAYU EMPiRE「ホントにカースト上位なのは、YU-KiとYUKAだけで(笑)」

YUKA「もともと私とYU-Kiだけしか決まってない段階では、〈王道のアイドル・グループで行くから〉っていうふうに言われてたんですよ。けど、5人集まって顔を出さなかったじゃないですか? その時点で〈あ、正統派ではないな〉と思い……」

MAYU「察しはじめたよね(笑)」

YUKA「その後に、EMPiREは〈帝国〉なので、最初から〈上から攻めていくスタンスのグループだ〉っていう話はされました。だから、凄いツンとしたイメージだと思うんですけど、メンバーはみんな優しいし、ポンコツだし(笑)、グループのコンセプトとメンバーの性格にギャップがあって。でも、そこは逆に私たちの個性として、ほんわかしてる部分も大切にはしてます。ステージとのギャップを大切に」

MiDORiKO EMPiRE「ステージでは上から行く感じで。女帝みたいな」

 最初に5人で顔合わせしたのは6月ながら、公開の合宿オーディションで先に選ばれていたYUKAとYU-Kiに加え、同オーディションで脱落するも追加募集で合格したMAYUとYUiNAも顔を知られていたため、9月に全員が顔を出すまでは一緒に行動できないという苦労もあったようです。

MAYU「YU-KiやYUKAと一緒のところを見られたら追加メンバーってバレるから、ずっと2:3で行動してて、顔出しまでグループ感みたいなのは全然なかったです」

YUiNA EMPiRE「週1でレッスンがあったけど、その帰りも別々にしたりとか」

MAYU「だから、互いのことがイマイチ掴めずって感じでした」

YU-Ki「壁があったよね(笑)」

YUKA「いまは仲は良いと思います!」

YUiNA「みんなタイプは本当に全然違うんですけど、話は合うというか」

MiDORiKO「違うので、それぞれの話を聞くのがおもしろかったり」

MAYU「YU-Kiの話を聞いてると、もうポジティヴで〈キラキラ~〉みたいな感じで、〈ああ、自分とはまったく違う人生を送ってきたんだな〉って思う」

MiDORiKO「引きこもりだったから」

MAYU「そうなの(笑)。だから、違う者同士が集まってるのが逆に心地良い、みたいな感じですね」

YU-Ki「精神年齢が近いのかも(笑)」

 そうやってグループ感を高めつつある5人は、パフォーマンスでも帝国らしさを発揮すべく成長を遂げている真っ最中。初めて全員で達成感を共有したのは、帯同しているBiSHのツアー初日だったそうです。

MAYU「それまでのライヴでは毎回ちょっと後悔とかがあったんですけど」

YUKA「でも、その日はみんなで楽屋に戻った時に〈今日は良かったね!〉って言えた」

MAYU「みんな一緒に一歩踏み出せたっていうか、やっとスタートラインに立てたっていうのが印象深かったです」

YU-Ki「いつも出番の直前まで〈失敗しちゃダメだ〉って思ってたんですけど、その日は出る前に振り付けの先生やライヴ制作のスタッフさんから、〈失敗してもいいから楽しんでやってきな〉って言葉をいただいて、そこで肩の力が抜けたっていうか」

YUKA「〈大いに間違ってこい〉って送り出してもらって。リラックスできたかな」

 あえて下積みの過程をワープで超えていくのは、上から攻める帝国らしさの演出のようなもの。ゆえに、当人たちにかかる重圧の大きさも想像に難くないわけで。

MAYU「めちゃめちゃ感じてますね(笑)。失敗できないっていう気持ちが凄い強くて、Zeppの日も〈今日ダメだったら、もう後がない〉ぐらいの気持ちで。ホントに毎回そんな感じなんです」

MiDORiKO「他のWACKの先輩たちと違ってスタートからメジャー・デビューだったりするのに、自分たちはこの間まで素人だったりするので……猛スピードで成長しなきゃいけないなって思ってます」

YUiNA「それに、新しいグループができるって発表されてからけっこう期間が長かったし、その後も顔を出さなかったりして、ずっと焦らしていたというか……その間も〈どんな子たちなんだろう?〉って期待が高まっていくばかりで、ハードルが上がってしまって。それも凄いプレッシャーでした」

 

乗り越えたら見えてくる

 そんな状況下で届くファースト・アルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』は、異例のカセットテープでのリリース。馴染みのない再生メディアについては「〈写ルンです〉とか流行ってるじゃないですか。そういう感覚で、一周回ってオシャレって思いました」(MAYU)、「再生回数が限られてるんですか?」(YU-Ki)と話す彼女たちですが、作詞やレコーディングはツアー帯同と並行してのハードなスケジュールだった模様。お馴染み松隈ケンタのプロデュースによって、公開済みの4曲と7つの新曲が彩り豊かにひしめいています。

EMPiRE THE EMPiRE STRiKES START!! avex trax(2018)

YUKA「最初の3曲はわりと堅いイメージが強かったんですけど、それを次の“Buttocks beat! beat!”である意味ブチ壊して、今回のアルバムではEMPiREの曲にはさらにいろんなヴァリエーションがあるって示されてると思います」

 その言葉の通り、アルバムの仕上がりは帝国の音楽地図を一気に広げたかのよう。SCRAMBLESのoni(元GANGLION)が作曲した幕開けの“FOR EXAMPLE??”から、SF的なムードが立体化されていきます。

MAYU「“FOR EXAMPLE??”はエレクトロって感じがします。私はPerfumeさんが好きなので〈あ!〉って思いました」

MiDORiKO「オシャレ」

YUKA「サビに歌詞が詰まってるわけじゃないので、ライヴとかもみんなで飛び跳ねたり、クラブみたいな感じにできたらいいなって思ってます」

 そのモダンな雰囲気を増すのが、チェインスモーカーズらに通じるシンセ・ポップのリード曲“Black to the dreamlight”。

YUiNA「もうすっごいキラキラしていて、ホントにイイ曲なんです。歌詞もいまの私たちに凄いピッタリだし。サビの部分はいままでのWACKの曲の中で一番キーが高いらしいんですけど、みんなそこをがんばって歌うので、ライヴでどうなるか楽しみですね。MVもまったく想像できないような雰囲気になっているので、観てもらえたら、また曲の捉え方が変わると思います」

 一方、美しいストリングスを纏って疾走する清純なアップ“MAD LOVE”、YU-Ki作詞によるアーバンでステディーなスウィング“Don't tell me why”のノリはこれまでのEMPiRE観を一変させるでしょう。

MiDORiKO「“MAD LOVE”は一応メンバーも詞を書いたけど採用されなかった曲で、この詞が渡された時に〈これは自分たちには書けないな〉って声揃えたぐらい、〈キスしてよ〉とか歌ってる可愛らしい曲で、自分たちだったらできなかったような歌詞をもらえて、可愛らしいEMPiREが出せてるかなって思います。幅が広がった一曲だなって思いました」

YUKA「“Don't tell me why”はもともと陽気で楽しい曲なんですけど、レコーディングでは松隈さんに〈ふざけて歌って〉って言われた曲で。みんなで喋り声とか喘ぎ声を録ったり、一人ずつブースに入って〈グーテンモルゲン〉とか指示された言葉をひたすら言ったのが間奏の部分に入ってたり(笑)。一番おふざけ要素が強くておもしろいので、ライヴも楽しそうだなって思ってます」

 MAYU作詞によるクールなシティー・フュージョン“TOKYO MOONLiGHT”でA面は終了。カセットを裏返して……“EMPiRE is COMiNG”でスタートするB面は、シアトリカルな台詞で始まる刹那的な“デッドバディ”をはじめ、いずれもYUKAが作詞に携わった重たいロック“LiTTLE BOY”“コノ世界ノ片隅デ”と、よりエモーショナルな表情も見せてくれます。

YU-Ki「“デッドバディ”は、一番最初に入ってるセリフをメンバーが代わる代わる言ってて、そこが印象に残ってます。あと、竜宮寺育さんの歌詞に難しい言葉がたくさん詰まってて、何かちょっと、WACKっぽい歌詞だなって思いました(笑)」

MAYU「“LiTTLE BOY”はサビが高くて長く伸ばすので歌ってて苦しいんですけど、それが自分的には逆に良くて、歌ってて凄い楽しい曲ですね。 これはYUKAが作詞していて、YUKAは自分の内面的なことをあんまり喋らないので、それをちょっと感じ取れたのも私は凄い嬉しくて、お気に入りです」

YUKA「曲調が暗めだったので、ふだん表に出さない苦悩とかを詰め込んだのはもちろんあるんですけど、EMPiREが恵まれた環境でプレッシャーに押し潰されそうになってるなかで、〈みんなも感じてるかもしれないな〉っていうことも入れたりとかして。何か、無理にきれいな言葉を並べてカッコイイ歌詞を作ろうとするんじゃなくて、自分の中から湧き上がってくる言葉を素直に並べた感じです。MAYUとYU-Kiも作詞してますけど、その人のキャラクターとかがよく出てると思います」

 結びが“アカルイミライ”なのも象徴的な、充実の初作を完成させた5人。その意識はもう、BLITZでのワンマンという未来を明るく照らすべく一直線です。

MiDORiKO「BLITZは観る立場で行ったこともあるし、1月の〈アイドル甲子園〉で立たせていただいた場所でもあるんです。その時のライヴは後悔が残ったので、そのリヴェンジとも言えるし、大きいハコでプレッシャーも大きいですけど、乗り越えたら必ず見えてくるものがあると思います」

YU-Ki「活動が始まってからの短い間だけでも、反省や後悔はたくさんあったので、これまで学んだことを、すべて5月1日にぶつけて出せたらいいなと思ってます」

YUKA「いまはまだオープニング・アクトで2曲とかリリース・イヴェントで4曲とか、少ない曲数しかやったことがないけど、ワンマンではアルバムの曲も全部やると思うので、EMPiREだけのライヴでEMPiREらしさっていうのを前面に出していきたいです。勝負の日だと思ってますね」

MAYU「EMPiREっていうものを、この5月1日で観せられると思うんですよ。いまのところ〈EMPiREって何なんだ?〉みたいな感じだと思うんですけど、〈私たちはこうだ〉っていうのを観せられる日になるので、めちゃめちゃ楽しみたいです」

YUiNA「まだ自分たちだけの空間でライヴしたことがほとんどないから、EMPiREを観に来てくれた方だけで埋まった景色がどういうものなのか凄い楽しみです。初めて観に来てくれる人も多いと思うので、これから先も期待してもらえるようなライヴにしたいです」

 

 【追記】以上の取材は3月7日に行われました。一週間後に控える〈WACK合同オーディション〉について訊くと「仮にどんな状況になっても、がんばることに変わりはない」と話していた5人でしたが、3月18日の合格発表に際し、YUiNAの脱退(BiS移籍)と新メンバー2名の加入が決定(この人数の推移は奇しくもBiSH初期のバタバタを短期間に凝縮したかのようでもあり……)。YUiNAを含む5人で最後のステージとなるBLITZはアカルイミライを照らし出すのか、あるいは……?

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