INTERVIEW

ブライアン・ブレイド インタヴュー―誰もがもつ光と影をテーマに、聴く人々の魂に安らぎを与えてくれる新作

©JohnAbbott

誰もがもつ光と影をテーマに、聴く人々の魂に安らぎを与えてくれる新作

 男性と女性の姿がシルエットとして捉えられた静的なイメージのジャケット写真。この影絵のようでもあれば、白昼夢のようでもある写真が物語っているように、ブライアン・ブレイド&ザ・フェロウシップ・バンドの新作『Body And Shadow』のテーマは、〈光と影〉。なかにはハーモニウムのソロからバンドの演奏へと繋がっていく賛美歌の演奏も含まれていて、鎮静した演奏が水墨画のような陰影を生み出し、聴き手に安穏をもたらすような作品となっている。

BRIAN BLADE & THE FELLOWSHIP BAND Body And Shadow ユニバーサルミュージック(2017)

 「数年前、ウェイン・ショーター・クァルテットとしてのライヴで、観客とのコミュニケーションが上手く取れないと感じたときがあった。そのライヴのあと、ウェインにこんなことを言われた。『どんな場合であっても、自分たちのやるべきことに集中しなければいけない。環境に左右されちゃ駄目だ。体の動きに沿って影は動く。でも、影だけが動くことはない』と。この言葉がずっと頭に引っかかっていた。それで今回のアルバムは、一曲一曲がスナップショット的というか、ソロは控えめで、動きの少ない演奏で成り立っている。僕たちの演奏は、常に光の当たる場所に立てられた軸を中心にゆっくり回転しているといった感じかな」

 ダニエル・ラノワをプロデューサーとして迎えた88年の『Brian Blade Fellowship』同様、新作はスタジオではなく、劇場で録音されている。それだけに“音響”の面では、同アルバムに通じるところもある。

 「ツアー中にたまたまロード・アイランド州にあるコロンバス・シアターのことを知り、ここで録音したいと思った。メンバーがお互いを見ながら演奏できる劇場のステージの方が、ブースで仕切られたスタジオより、バンドとしての一体感のある演奏ができると思ったから。ダニエルは空間やアンビエンスを生み出すことに関しては、他の追随を許さないアーティストであり、僕にとって師匠のような存在だ。彼の創り出すサウンドは、一種のミステリー。自分がドラムスを演奏したダニエル関連のプロジェクトの音源をたまに聴き返すことがあるけど、どうやってこんなサウンドを創り出したのだろう、といまだに驚かされる。と同時に彼に後押しされたかのように、自分も独創的な音作りにチャレンジしていこうと思えるんだ」

 ブライアンは米南部のザイオン・バプティスト教会の牧師の家庭に生まれ、幼い頃は聖歌隊で歌っていた。彼の音楽の清潔さや安らぎの秘密は、この点にある。

 「ゴスペルは、常に僕の心の中にある。それとゴスペルに限らず、素晴らしい音楽にはささやかな人生のテーマが込められていると思っている。〈人生をあきらめないように〉というテーマがね」

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