WACKからの第4の刺客。グループを立ち上げて数作後にメジャー・デビューという従来のWACKの流れとは異なり、EMPiREはスタートからavexが関わっている。サウンド・プロデュースはお馴染み松隈ケンタだが、彼の率いるSCRAMBLESが得意とする激しいロック・マナーの曲が主軸ではなく、EDMにしてアンセムとなりそうな“FOR EXAMPLE??”、ニュー・ジャックっぽく跳ねる“Don't tell me why”、SOUL'd OUTを意識したという“TOKYO MOONLiGHT”といった具合にダンス・ミュージックやブラック・ミュージックを積極的に採り入れているのが新鮮。avexで脈々と受け継がれてきたダンス&ヴォーカルのフォーミュラ——言わばガールズ・ポップの一つの正史に異端のWACKの新人が挑むという恰好で、非常にスリリング。終盤にはヘヴィーな“デッドバディ”、エモーショナルの極みのような歌声を響かせる“コノ世界ノ片隅デ”など、SCRAMBLES節全開の楽曲も用意されて盤石な仕上がりに。隙のないアルバムで堂々たるデビュー。しかし、CDではなくカセットで。