『サクラ』を開花させた4人のプロデューサーたち

 『サクラ』で前野健太の相棒となった4人のプロデューサーたち。ここでは、彼らのこれまでの外仕事を紹介しよう。まず、ceroの荒内佑は、意外にもこれが初のプロデュース作品。ただ、プレイヤーやリミキサー、エンジニアとして多方面に関与しており、直近ではtoeの最新作『That’s Another Story』で“Song Silly”をエディット感覚溢れるヨレたビート音楽へ再構築。ほか、Alfred Beach Sandal + STUTSやVIDEOTAPEMUSICの楽曲などでクールな鍵盤捌きを堪能できる。

 続いては、ピアノ/ドラムス/フルート/ヴィブラフォンを操るマルチ奏者/シンガー・ソングライターの石橋英子。演奏者としての参加作品/ライヴ・サポートは、星野源、柴田聡子、坂本慎太郎……など多岐に渡るが、プロデュース作品としては、本文でも触れられている紺紗実『blossom』がやはりオススメ。音数が少なめのニューミュージック然としたアプローチのなかで控えめに情緒を匂わせる歌声が素晴らしい。

 また、昨年に初のソロ作『ノスタルジア』を発表したばかりの岡田拓郎は、South Penguinをデビューから2作連続で後押し。ソフト・サイケな曲調をエフェクティヴな音処理で増幅するやり口には、音の鳴りにこだわる彼らしさが如実に出ていると言っていいだろう。

 そして、ラストの武藤星児はお茶の間級のJ-Popで手腕を発揮してきた人物。近年でもっとも有名なものはAKB48“恋するフォーチュンクッキー”だろう。そのAKB48の周辺グループやソロ、SMAP、清竜人25など主にアイドル・ポップ界隈での編曲ワークが多数なので、マエケン流のJ-Popと聴き比べてみるのもまた一興かと。 *bounce編集部

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