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マキシマムな作品群で振り返る昭和の10年史

般若 ドクタートーキョー 昭和レコード(2008)

真顔のユーモアを見せるジャケも印象的な通算4枚目のアルバムにして、昭和レコードの第1弾作品。ICEDOWNやKNOCKとも引き続き組みつつ、I-DeAやJAM KANE、EVISBEATSなど初顔合わせも含む幅広いメンツのトラックを採用して心機一転。長渕剛プロデュースの“チャレンジャー”も収録。

 

般若 HANNYA 昭和レコード(2009)

〈UMB 2008〉の全国制覇でバトルMCとしての優性を証明しておいて、このジャケで出す天の邪鬼ぶり! Mr.BEATSによる新たな代表曲となった“最ッ低のMC”をはじめ、従来からの愉快犯ノリや率直なラヴソングまで、曲想の振り幅はさらに広がった。公募によるトラック採用もここから開始。

 

SHINGO★西成 I・N・G 昭和レコード(2010)

もともとシンパシーを感じていた縁から昭和に移籍して放った3年ぶりのセカンド・アルバム。TRAMP製のストレートな“G.H.E.T.T.O”を入口にトピックは老若男女対応。盟友DJ FUKUや馴染み深いEVISBEATS、NAOtheLAIZAら関西勢メインに多彩なビートも取り揃えて客演ナシの独演会に臨んだ力作だ。

 

般若 BLACK RAIN 昭和レコード(2011)

間に〈3.11〉を挿んで半分ずつが作られたという6作目。事態に即応した“何も出来ねぇけど”や闘気の漲る“足音”など力強さを感じさせる曲が際立つも、一辺倒にはならず。新たに抜擢されたPENTAXXX.B.Fによる“カバディ”の味わいと“ビルの向こう”の決然とした空気は以降の般若らしさの原点のよう。

 

SHINGO★西成 ブレない 昭和レコード(2012)

人間臭さや温かみといった昭和のレーベル・マナーを決定付けたような一枚。ストロング・ポイントを磨き上げつつレゲエやロック、歌謡曲のフレイヴァーも採り入れ、広がった曲調も相まって西成のヒーローから浪速のスターに踏み出している。各地でビートジャックを生んだ“大阪UP”もここに収録。

 

般若 般若万歳 昭和レコード(2013)

『コンサート』の前哨戦として出たミックスCDは、過去10年分の客演曲から本人ヴァース中心にコンパイルし、ライヴでバックを支えるDJ FUMIRATCHが仕立てたもの。“東京UP”や“SHOWA SONG”のFUMIRATCHによるリミックスなど初CD化音源も含み、曲数の多さもキャリアを物語る満腹の一枚だ。

 

般若 コンサート 昭和レコード(2013)

NORIKIYOとのポジティヴな“終わる日まで”やSAMI-Tの客演/プロデュースによる“はいしんだ”、SAYを迎えての“Longtime Friend”、TOKONA-Xの存在など、かつてなく多様な声をキャッチーに配した7作目。SHINGOがフックを担う“倍ヤバイ”には田我流とZONE THE DARKNESSをフィーチャー。

 

般若 ジレンマ 昭和レコード(2013)

『コンサート』の続きともいえる昭和で初のシングルは年明けのSHIBUYA-AX公演も踏まえてリリースされたもので、MACCHO(OZROSAURUS)とサシでの78年組コラボが実現。Fragment製ビートのシリアスな疾走感に乗せた鋭い絡みは唯一無二。JASHWON作の“僕等”をカップリングに収録。

 

SHINGO★西成 おかげさまです。 昭和レコード(2013)

実母をジャケにあしらった昭和での3枚目。自身のアルバムに初めて般若を迎えた“傷”をはじめ、MINMIやRYO the SKYWALKERといった大物とのコラボもいつになく目立っている。半分ほどのトラックをDJ FUKUが手掛け、ブルージーな人情ソングもキッズ世代へのメッセージも自在に聴かせるのは流石。

 

ZORN サードチルドレン 昭和レコード(2014)

ZONE THE DARKNESSから改名した〈第三の男〉の昭和レコード第1弾。般若が全体を統轄し、申し分ないスキル以上に中身を伝える作りへ移行している。PENTAXXX.B.FやCAMEL、DJ FUKUの音作りが昭和のマナーを持ち込んだほか、OMSBやPUNPEE、Lil'諭吉らトラックメイカーも幅広い。

 

般若 #バースデー 昭和レコード(2014)

初の日比谷野音ワンマンを控えての8作目。それぞれの生い立ちや不在の父親についてKOHHと語る“家族”、そこからSAYと共に息子の誕生を歌う表題曲への転換は説明不要のハイライトだろう。穏やかな語りの目立った前作に対し、全体的にはライヴ向けの暴れん坊な側面に立ち戻った雰囲気もある。

 

SHINGO★西成 ラガッ&ラパッ ~客演曲ほとんど&REMIX ちょい~ ディジェッ by DJ FUKU 昭和レコード(2014)

ヒップホップからレゲエまで多彩なコラボ遍歴の数々と自曲をDJ FUKUのミックスによって披露した表題通りの一枚。ZORNとR-指定を迎えて新装した“イコイコ”や、JUMBO MAATCHとJ-REXXXを招いた“左”のリミックスなどエクスクルーシヴも贅沢!

 

ZORN The Downtown 昭和レコード(2015)

dubby bunnyが硬軟に渡って大半のトラックを手掛けた転機の一作。般若とNORIKIYOの客演を含み、ダークネスの延長と等身大の生活感が共存した雰囲気だ。DJ OKAWARIの穏やかなループの“My life”からWEEDYとの“葛飾ラップソディー”に至る終盤の流れはそのまま次作の方向性に繋がっていく。

 

般若 ドッグラン 昭和レコード(2015)

初出演した映画「Zアイランド」の公開にも絡むタイミングで登場したシングル。表題曲はDJ FUMIRATCHと武史(山嵐)が共同プロデュースし、K5(NAMBA69)がギターを演奏した珍しくミクスチャー仕立てのロック・チューン。らしさの滲むDJ FUKU製のカップリング“放っとけ。”も必聴か。

 

般若 グランドスラム 昭和レコード(2016)

改めてキャリアを総括するような“あの頃じゃねえ”で話題となった9作目。余裕綽々の“我覇者なり”“自己紹介”や、“寝言”や“DA MA RE”など露悪が全開になった笑かし系、シリアスもの、爽快なロック・ナンバー、R-指定との最低な“たちがわるい”まで多彩な楽曲がバランス良く並んでいる。

 

ZORN 生活日和 昭和レコード(2016)

前作で掴んだ確信に導かれ、冒頭曲の通りに“Life Size”な日常の目線で丸ごと一枚仕上げた穏やかな野心作。EstraやYakkleらの美麗なビートを得て、〈死に物狂いで掴んだ平凡〉を歌い上げる構成が素晴らしい。WEEDYとの再合体“夕方ノスタルジー”や娘たちに捧げたEVISBEATS製の“Letter”が出色。

 

ZORN なにか+1 昭和レコード(2017)

前年末のワンマン直前に突如配信したEPをボートラ入りでCD化。GEBARAとのラフなコラボ“Be All Right”もあり、『生活日和』のインタールードを曲に発展した“コインランドリーにて”もあり、LISACHRISによる“マイルドヤンキー”や、SHINGO★西成とアッパーにカマす“Positive Vibe”もあり。

 

SHINGO★西成 ここから…いまから 昭和レコード(2017)

難産だったという実に4年ぶりのアルバム。J-REXXXとハードに吠える“鬼ボス”やTAK-Z & KIRAとのニュー・ジャックなパーティー・チューン“絶句☆ニッポン”などハデな新機軸も楽しいが、力強い“GGGG”や初期の姿を思わせる“KILL西成BLUES”などのシリアスさがより耳に残る。

 

ZORN 柴又日記 昭和レコード(2017)

dubby bunnyやYakkle、OMSBといった布陣や、みたびWEEDYを迎えた“黄昏ミゼット”を交え、変わらないようで少しずつ変わる生活の日和を表現した現時点での最新アルバム。直面した死と生をそれぞれ重鎮O.N.OとCalmのビートで表現した“かんおけ”“ゆりかご”は言わずもがなのハイライトだ。

 

SHINGO★西成 わになるなにわ 昭和レコード(2017)

アルバムから半年で届いた5曲入りEP。10周年を迎えたイヴェント〈ナニワの日 -わになるなにわ-〉に絡む成り立ちもあり、ULTRA NANIWATIC MC'sとしての表題曲や、NG HEAD、BOOGIE MAN、KENTY GROSSという“大阪プライド”メンツの再結集など、地元コンシャスな楽曲が並んでいる。

 

ZORN Anthology 昭和レコード(2017)

昭和恒例のミックスCD。選曲とDJミックスはZONE THE DARKNESS時代にも同主旨の『CREATION』を残している盟友DJ TATSUKIで、JAZEE MINOR“100(Remix)”やNORIKIYO“Hey Money(Remix)”など人気の客演曲や改名前の“奮エテ眠レ”、エクスクルーシヴの“リプトン”など25曲を収録!