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〈DO IT〉に出演するバンドは〈地方〉の匂いがある

――地元を巻き込むためには、ある程度マスも意識しなければいけないと。たしかにそれはバランスをとるのが大変だし、アンダーグラウンドの状況も2008年と今ではずいぶん変わりましたよね。実際、10年前とこの2018年では〈DO IT〉のラインナップはどのように変化していますか?

酒井「元々〈DO IT〉はハードコアやポストロックのシーンで活動するバンドのラインナップが強かった印象ですが、今はジャンルという括りではなく、自分たちのスタンスを持って活動をしているバンドや、各地方のシーンから集結している感じがより強くなってきてるかもしれません。それこそ福島で〈オナフェス〉を開催してるTo overflow evidenceがそうだし、Age FactoryやLOSTAGEは奈良から発信している。KONCOSは東京を拠点にしてるけど、彼らは地方のシーンを常に意識してるし、 GEZANも東京の中で自分たちの意思をしっかりと提示してますよね。THE SENSATIONSのオオサワ君は〈DO IT 2016〉にレンタカーを借りて東京から仲間みんなで遊びに来てくれてたし、彼らがいるのは東京のシーンだけど、しっかり〈LOCAL〉を感じるというか」

佐藤「そうそう。活動拠点に関わらず、どのバンドも地方の匂いがあるんですよね。東京のバンドも東京という地方の匂いがある」

酒井「クリトリック・リスなんて、大阪のアーティストなのに、ここ3年で8回も酒田に来てくれてるんですよ(笑)。実際、クリ兄が来る日は普段ライヴハウスとも違った層も来てくれるし、〈クリ兄がくるなら俺も出たい!〉みたいな感じで、地元の対バンも来るたびに増える。そうやって酒田に来てくれたバンドが、また別のバンドを紹介してくれたりするのも、すごくありがたくて」

※クリトリック・リスの酒田での通称

――酒田のシーン自体はどういう状況ですか?

酒井「おもしろくなってきてます。ただバンドの絶対数が決して多いわけではないので、同じジャンルのバンドだけでイヴェントを組むっていうのはなかなか難しい。だからやっぱりそこに他ジャンルのバンドも混ざっていかないとイヴェントは成り立たないんですけど、そういうなかでちゃんと開かれた企画を立てられるバンドがどんどん出てきてる。〈どんな音楽性だろうと、みんなでやってこうぜ〉みたいな気持ちの奴らが、酒田にはたくさんいます。それこそ自分が酒田hopeを始めた頃はFRIDAYZの企画ばかりだったけど、今は後輩たちが立てた企画に自分らがツアーで知り合ったバンドが出ることも増えてきて、それがものすごく嬉しいんです」

――いいですね。〈DO IT 2018〉に出演する地元出身のバンドも、ここでぜひ紹介してください。

酒井「DOLIPULEとthis isは地元のメロディック・シーンでいちばんライヴをやっているバンドですね。マルチ放電はオルタナ/シューゲイザー・バンドで僕のレーベルからリリースもさせてもらってます。あと、STAND ALONEのヴォーカルとギターは高一の頃からコピバンでhopeに出てたやつなんですけど、いまやそいつも自主音源を全国で売りながら、TITLE FIGHTのTシャツを着てかっこいい音楽やってるんですよ。まっくら学芸会は、今酒田を離れているんですけど、学生時代からhopeでライヴをしていて、今年は〈荒吐ロックフェス〉にも出演しました。今の酒田ではそういうたくましい奴らがどんどん育っている」

――やっぱりそこはFRIDAYZの影響も大きいのでは?

佐藤「もちろんそれはあると思います。でも、いま酒田hopeに出ているバンドはハードコアだけじゃなくて、皆それぞれの音楽性を持っていて。そこがすごくいいんですよね」

酒井「確かにハードコア・バンドは全然出てこないな。俺たち、こんなにやってるのに(笑)」

佐藤「だから、〈DO IT〉はそういう人たちに〈何やってもいいよ〉と言えるイヴェントでありたいんですよね。それぞれがやりたい音楽をガンガンやってくれたらいいなと」

 

〈DO IT〉が盛り上がっても、次の日に誰もライヴハウスに来なかったら意味がない

――出店もやはり地元のお店が中心?

佐藤「もちろんそこは山形で商売を営まれている方のお店がメインです。そこもやっぱり友達に声をかけている感覚ですね。ラーメン屋にしても、レコード屋にしても、〈この店、すげー良いから行ってみてよ〉みたいな感じというか。それこそ前回の〈DO IT〉をきっかけとして酒田に初めて来てくれたお客さんはたくさんいたし、今回もきっとそうなってくれると思うので、ぜひこの会場を通して我々が普段遊んでいる山形のおもしろいところが伝わればいいなと思ってるし、できれば〈DO IT〉の翌日に町まで足を運んでもらえると、最高だなと」

――遠方から〈DO IT〉に来たら、ぜひ翌日も山形で遊んでいってくれと。

酒井「今回、土曜日の1日開催にしたのは、そういう理由もあるんです。前回は11月開催だったんですけど、その頃の山形は完全に冬だったので(笑)。今回はホントいい時期だと思いますし、日曜日はぜひ山形で遊んでもらいたいですね」

佐藤「とは言いつつ、じつはまだ会場のレイアウトも考えているところなんですよ。というか、前回の〈DO IT〉もレイアウトが最終確定したのは2日前だったんですけど(笑)」

酒井「そういうところも〈DO IT 2008〉の影響は大きいというか。誰かがその場のノリで言ったことを実際にやっちゃうところが〈DO IT〉のおもしろさだし、それが自分たちのいるシーンならではの発想だと思うから、そこはちゃんと受け継いでいきたいんですよね」

――仲間内の盛り上がりが、いつの間にか地域全体を巻き込むイヴェントになったと。

酒井「そうですね。でも、どんなにイヴェントの規模が大きくなろうが、あくまでも〈DO IT〉はライヴハウスでやってることの延長なんですよ。そこだけは譲れないんです。ライヴハウスと共に〈DO IT〉を続けてゆく。ライヴハウスに戻ってくる、ライヴハウスの先にあるような、これからもそういう流れでいきたいんですよね」

佐藤「そうですね。〈DO IT〉がすごく盛り上がっても、次の日になれば誰もライヴハウスに来なかったらしょうがないと僕らは思ってる。〈DO IT 2008〉に教わったのもそういうことだし、多分あの現場を体験している人はみんなそう思ってるんじゃないかな。いつかああいうイヴェントがやりたいって。今回も僕らはそういう気持ちでやってるんです」

 


〈DO IT 2018 -YAMAGATA MUSIC FES.〉
2018年6月9日(土)山形県・酒田市グリーンシステム特設会場

〈出演者〉
Age Factory / COUNTRY YARD / DEEPSLAUTER / DOLIPULE / Dr.DOWNER / FOUR GET ME A NOTS / FRIDAYZ / GEZAN / Homecomings / Keishi Tanaka (Band Set) / KONCOS / Limited Express (has gone?)×ロベルト吉野 / LOSTAGE / MOROHA / RAZORS EDGE / SEVENTEEN AGAiN / skillkills / STAND ALONE / SuiseiNoboAz / THE SENSATIONS / The Wisely Brothers / this is / to overflow evidence / UHNELLYS / Wienners / クリトリック・リス / テニスコーツ / ホリエアツシ(ストレイテナー/ent) / まっくら学芸会 / マルチ放電 / 音の旅crew / 鳥肌実 / 突然少年

〈チケット発売中〉
前売入場券: 6,000円
当日入場券: 7,000円
駐車場券: 1,000円

〈主催〉
DO IT 実行委員会

〈後援〉
酒田市

〈公式サイト&SNS〉
公式サイト http://doit-yamagata.jp/
Twitter http://twitter.com/doit_yamagata
Facebook http://www.facebook.com/doityamagata/
問い合わせ:DO IT実行委員会 info@doit-yamagata.jp