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shabel、ジャズの殿堂で初ワンマン! 観客全員が〈ヤバいモノを見てしまった〉感!!

shabel、ジャズの殿堂で初ワンマン! 観客全員が〈ヤバいモノを見てしまった〉感!!

メロディック・デスメタル・ジャズ・ピアノ・トリオ、shabelが4月25日(水)、バンド初となるワンマン・ライヴを横浜・赤レンガ倉庫にあるライヴ・レストランMotion Blue yokohamaで実施した。

始まりの挨拶をするぺいじゅん(ベース)
 

Motion Blueをたまたま訪れたごく一部の客を除き、客席のほぼすべてがshabelのファンで埋め尽くされる中、髙橋麻佑(ピアノ、キーボード)、ぺいじゅん(ベース)、たけぶち(ドラムス)の3人が緊張した面持ちで登場。楽器を構えたぺいじゅんが改まった顔で〈本日は……〉とまるで結婚式の司会のように話し始めると、それだけで客席からは笑い声が。shabelファンは温かい人が多いようだ。〈本日はお集まりいただき誠にありがとうございます〉と続けて挨拶。〈平日ど真ん中でまだまだ仕事の日は続きますが、私は土曜も仕事です。ですが、このひと時だけは楽しんでいただければと思います。shabel、始めます!〉との掛け声を合図に、最新EP『TRUE/FALSE』収録曲“nervous breakdown”からライヴはスタートする。Motion Blueをイメージしたブルーのライトの中、おごそかなピアノから演奏が始まるが、激しいピッキングのベースと地鳴りのようなドラムも加わり、しょっぱなからトバす3人。

 

ぺいじゅんの〈ありがとう!〉を合図に早速2曲目の“encore”へ。2曲目なのに〈アンコール〉を選曲するあたり冗談好きな彼ららしさがあふれている。流麗なピアノにたけぶちのツインペダルが映える楽曲だが、縁の下の力持ち、ぺいじゅんもベースを歪ませての大暴れ。キメの前後では男性メンバー2人が髙橋の方を向いてそれぞれ顔を見合わせるあたり、大学時代からの仲だというメンバー同士の仲の良さを伺わせる。再び〈ありがとう!〉とぺいじゅんが叫ぶと、観客からは歓声とざわめきが沸き起こる。

〈お忙しい中来てくれてありがとうございます。私も午後半休でしたけど〉とたけぶちが笑いを取ると、〈今日は初のワンマンで100分というワクをいただいたので、曲もそんなに無いし、MCで埋めりゃいけんじゃないの? これが1万円のライヴならいかがなものかと思うけど、フリー・ライヴだしね〉と畳み掛け、場内は大爆笑に包まれる。今年2月に全国リリースされたサードEP『TRUE/FALSE』のアナウンスをすると、アルバムの収録順通りに“boolean”“swamp hip”を披露していく。

次々に展開していく“boolean”の曲調に合わせて、色とりどりのライトが照らす中、緊張感から解放された3人は次第に身体を揺らしながら楽器を演奏。特に髙橋は小柄な身体を揺さぶりながらコンサート・グランド・ピアノの鍵盤を力強く叩いていく。続く“swamp hip”では髙橋が前方にあるキーボードの席へと移動。前方の観客は提供される食事の手を止め、間近で観る髙橋の指さばきに釘付けになっていたようだ。

観客の注目を集める髙橋麻佑(ピアノ、キーボード)
 

間髪入れずにファーストEP『Restructuring of shabel』の収録曲“f.t.p”へ。ポリリズム的フレーズが繰り返される中、ガリガリと硬いピッキングのベースと、目にも止まらぬ高速ハイハットさばきにも注目が集まる。三者三様、どこを観てもエンターテイメントしてるのがshabelの素晴らしいところだ。演奏が終わると拍手の中、初見と思われる隣の席のご婦人が口を開けたまま一言〈すごい……いくつぐらいの人たちなんだろう……〉。

 

続くMCでは、3月にタワーレコード渋谷店の店内で行われたインストア・イヴェントの裏話をたけぶちが披露。〈ドラムを静かに叩くよう言われていたけど、どうしても大きな音になっちゃって苦労した。今日もミュート(消音器)はしてるけど前方のお客さんはうるさかったらごめんなさい〉と言うとまたしても場内からは笑い声が。〈タワーレコードと言えば、自主制作のミニ・アルバム2枚を編集して『Restructuring of shabel』をタワーレコードから出してもらったんだけど、そこに入らなかった楽曲も披露したいと思います〉〈タワレコのバイヤーさんが収録してくれなかったせいで、ライヴでなかなか披露できなくなっちゃったよ〉と愚痴をもらしつつ、幻のファースト・ミニ・アルバムのタイトル曲 “Synthesized Quiet Language”(通称SQL)を演奏する。

 

“SQL”はshabelには珍しいスロー・テンポな6拍子の曲だが、徐々に徐々にと盛り上がったかと思ったらサッと落とすメリハリの利いた楽曲。ドラム・ロールのごときツインペダルの細かい連打は圧巻で、活動初期からたけぶちがブレていないことがよくわかる。続いても“SQL”と同じ理由でライヴではほとんど披露していないという幻の楽曲“re-structure”(セカンド・ミニ・アルバム『Restucturing of Rock』収録)を披露。時に荒々しく勇気にあふれ、しかし時に不安だったりズッコケたりするような不思議なshabelワールド満載の楽曲を駆け抜け、前半の部を終了する。

 

30分の〈ご歓談タイム〉ののち、ヘアチェンジとお召し替えをしたメンバーが登場して後半がスタート。外はすっかり真っ暗で、ライトアップされたレインボーブリッジが輝く中、美しく華麗なピアノから“NE”が始まるとすっかりムーディーな雰囲気に。どっしりとしたベースに重く響くドラムスが加わり、後半に拍子が変わっても、その美しいメロディーは最後まで続いていく。続く楽曲は〈shabelの出発地点〉でもある楽曲“default”に大胆アレンジを施した“dead eternity feeds all us living things”。この曲も美麗なピアノが印象的だが、ぺいじゅんも美麗なベース・ソロを披露。さらにラストには3人でのキメを披露し、観客から思わず拍手が巻き起こる。

 

たけぶちが〈お疲れ様で~す〉と言うと本日4度目のMCタイム突入。大学のサークル時代の先輩後輩で、よく赤レンガ倉庫にも来ていたという3人。当時Motion Blue yokohamaでベロベロに酔っぱらった髙橋が〈いつかココでライヴできたらいいね〉と言っていたら、それが叶ったと喜びをあらわにし、〈みんなもベロベロになって帰ってね〉とお酒を勧める一幕も。そこからたけぶちが〈データベーススペシャリスト試験〉に受かった話に繋がり、それが嬉しくてイニシャルを曲名にしたという楽曲“DBS”へと続いていく。複雑な展開が続く曲の中で、ここでも見事に3人でのキメを披露しつつ、突如としてぺいじゅんが歪みベースで暴れまくる。この方は温厚そうに見えてコレがあるから怖い。

〈古い曲もやったけど新しい曲もやろう〉とのことで初披露された新曲は、その名もズバリ“Motion Blue”。タイトルだけで観客の爆笑をかっさらうが、実はどの曲にも増して複雑な展開。静かに始まり、拍子や表情をコロコロと変えながらリズム隊は徐々に音量を増していき、まるで火山が噴火するかのごとく爆発する様はまさに〈これぞshabel〉。メンバーの3人は今日イチで身体を揺らしながら演奏し、観客も今日イチの盛り上がりを見せる。これには隣のご婦人も〈すごい……こんなドラムがガンガンのバンドも珍しい!!〉と一言。

ツインペダルを始めメタルなリズムを繰り出すたけぶち(ドラムス)
 

続いては『Restructuring of shabel』収録の“SCS”のイントロから同アルバムの“Bios”へと繋がるメドレー。超絶技巧を繰り広げながら5拍子と6拍子を自在に行き来するさまにはプログレバンドも真っ青だ。そしてピアノとぴったり寄り添ったり、ハイハットと同時にキメるベース――やはりこのバンドの縁の下の力持ちはぺいじゅんだと再認識する。

最後のMCでは〈今日はちょっとアダルティに演奏しているので、もっと若々しい演奏をしているライヴ・ハウスにも遊びに来てください〉〈一夜限りの関係ではなく、今後もshabelと接点を持っていただければ〉とたけぶちが再び観客を沸かせると、最後に〈shabelがブレイクするきっかけになった〉という楽曲“Steps”を披露する。タイトル通り、階段を上り下りしているようなフレーズが続く中、この曲もまた何度も景色が変わっていく。最後にドラム・ソロで演奏を終えると、観客の中には立ち上がって拍手や歓声を送り、同時に早速アンコールを求める声も上がるほど。

 

段取り慣れしていないメンバーはおどおどしながらも〈それならもうちょっとやらせてもらっていいですか?〉とぺいじゅん。たけぶちが〈アンコールなら何やってもいいですよね? まだやっていない人気の曲と、今日来ているお客さんが一番好きな、ベースの彼(ぺいじゅん)がやっちゃう曲をやります〉と告げると、“Exception”を演奏する。美しく勇敢なメロディーを着実に弾きこなしつつも、いつも遊び心を忘れないピアノ。攻める時は攻め、守る時は守るTPOをわきまえたベース。夜も更けているのに序盤からぶっ飛ばすドラムス。そして一音一音で刻一刻と景色を変えていく3人のメンバー。最もshabelらしいナンバーとも言える“Exception”を披露した3人がラストに用意していたのは、これまでのどの曲以上に衝撃的な展開の“ABENDERROR”だった。これぞ真のボーナス・ステージと言わんばかりに、演奏が始まると、突如として叫び出すぺいじゅん。その姿はまるで国民的ネコ型ロボットアニメに登場する親分キャラのリサイタルシーンだ。〈TPOをわきまえたベース〉と言ったが、この人全然何もわきまえていない。夜の横浜に邪悪な歌声がこだまし、一部の大ウケしている観客を除き大多数が唖然としている。これぞ茫然自失。これぞshabelの真骨頂――。一通り暴れたぺいじゅんが一言〈気ィつけて帰りな〉と言うと、汗だくの3人は一礼をし、ステージを後にしていった。

 

ライヴではズバ抜けたパフォーマンスを見せつつMCでは笑いも取り、ラストには嵐のような衝撃を残しては観客全員を〈ヤバいモノを見てしまった〉という顔にさせたshabel。今後も、この唯一無二のメロディック・デスメタル・ジャズ・ピアノ・トリオから目が離せないのは間違いないようだ。

 

〈a touch of music ~shabel Free Live~〉
2018年4月25日(水)Motion Blue yokohama

セットリスト
1. nervous breakdown
2. encore
3. boolean
4. swamp hip
5. f.t.p
6. SQL
7. re-structure
休憩
8. NE
9. dead eternity feeds all us living things
10. DBS
11. Motion Blue(仮)
12. SCS
13. Bios
14. Steps
~Encore~
15. Exception
16. ABENDERROR

 

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