母親が若い男と不倫の末、ダイナマイトで心中という小説や映画でもなさそうな実話を持つ末井昭の自伝的エッセイが映画化。そのサウンドトラックは、DCPRGをはじめ何かと縁のある菊地成孔と小田朋美の手によるもの。末井の激動の人生と歩調を合わせ、収録曲は即興的で不安定ながら、楽しげな様子もあり気持ちをソワソワさせる起伏に富んでいる。目玉となるのは、菊地が何としても実現したかったという末井昭と、彼の母親役を演じた尾野真千子のデュエット《山の音》で、切ないストリングスをバックに2人の儚げな歌声がとても印象的である。菊地の私塾「ペンギン音楽大学」の生徒によるリミックス音源も収録。