オデッザ、ジラファッジ、カスボ、ホワット・ソー・ノットなどトレンドを象徴するリリースが続き、トラップ、チルウェイヴ、トロピカルなどといったタグを追っている人には特別なレーベルになりつつあるカウンター。その眩しいカタログに加わったフューチャー・ベースの俊才、クローム・スパークスのファースト・アルバムが本作だ。温かみと深みの共存したダンサブルなベースラインにアンジェリカ・ベス(ボディ・ランゲージ)が気怠い歌を乗せる“What's It Gonna Take”、変声ヴォーカルをアクセントにしながらクライマックスへ向かって幾重ものシンセで壮大に盛り上げてみせる“Still Think”をはじめ、アルペジオを効果的に配した曲が多く、センティメンタルな響きが強く印象に残る。一方ではシンセを緻密に構築することでトランスに勝るとも劣らない昂揚感をも醸し出しており、メジャー・レイザーがマッド・ディセントのパーティーでプレイしたとか、北米ツアーが軒並みソールドアウトになっているという状況も頷ける内容。