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FMとファミリーの関連作

CLUB NOUVEAU Life, Love & Pain Warner Bros./ワーナー(1986)

ジェイ・キングを首謀者とするR&Bユニット。ビル・ウィザーズ“Lean On Me”のゴーゴー調カヴァーが大ヒットした初作だが、“Jealousy”や“Why You Treat Me So Bad”といった無機質とも言えるエレクトロなシンセ・ファンクのサウンドはまぎれもなく音作りの要となったF&Mのセンスだ。ラストの“Pump It Up(Lean On Me)”ではオークランド・ファンクのルーツも垣間見える。 *林

 

TONY TONI TONE The Best Of Tony Toni Tone Motown(2001)

90年代にはミュージシャンシップを発揮してネオ・ソウルへの道を拓いていくオークランドの才能集団だが、88年の初作『Who?』(廃盤)の時点ではまだF&Mにプロデュースを仰いでいた。いきなりR&Bチャート首位に輝いた“Little Walter”は、当時のアイドル性も反映して躍動するNJSナンバー。そこから“Born Not To Know”“Baby Doll”など4曲連続でのTOP10獲得はF&Mの功績だ。 *出嶌

 

KATHY MATHIS A Woman's Touch Tabu(1988)

ジャム&ルイスに憧れていたF&Mによるタブーでの初仕事。ネクスト・シェレール的な歌姫の2作目で全面制作を任されたF&Mは、同時期に手掛けていたトニーズのドウェイン・ウィギンスをギタリストとして起用しながらテクノ・ファンクなサウンドでキャシーの力強い美声を出迎えている。JB風ファンキー・ビートの“Men Have To Be Taught”はアン・ヴォーグを予感させる一曲。 *林

 

EN VOGUE Born To Sing EastWest(1990)

アン・ヴォーグのデビュー作。JBを意識したビートの“Hold On”、カイリーがペンを交えていた“Lies”、そして“You Don't Have To Worry”というR&Bチャートを制した3曲をはじめ、ここで展開されるF&Mサウンドは、いま聴くとヒップホップ・ソウルの先駆けのようにも思える。〈歌うために生まれてきた〉と謳う彼女たちの颯爽としたヴォーカル&ハーモニーも当然魅力的だ。 *林

 

ALEXANDER O'NEAL All True Man Tabu(1991)

ジャム&ルイスがメインで制作したアレックスの本作にてF&Mは1曲だけ提供。その“Midnight Run”は、マーヴィン・ゲイ“I Want You”風のメロディーを組み込んだF&M流ビートのミディアム・ファンクで、バック・ヴォーカルにはサミュエルとアン・ヴォーグのマキシン・ジョーンズというF&M一派が参加。アレックスが歌うとF&MのJBマナーがより浮き彫りになる。 *林

 

EN VOGUE Funky Divas EastWest(1992)

JB“The Payback”のギター・リフを引用した“My Lovin'(You're Never Gonna Get It)”とアレサ・フランクリン曲リメイク“Giving Him Something He Can Feel”のR&B No.1ソングを生んだ2作目もF&Mの全面制作。エレクトロ感は後退し、ファンキーでゴージャスな仕上がりに。ブラック・ロックな“Free Your Mind”にはF&MのPファンク(ファンカデリック)好きも反映された? *林

 

REGINA BELLE Reachin' Back Columbia(1995)

レジーナ・ベルのフィリー・ソウル名曲カヴァー集にてF&Mは4曲を制作。スタイリスティックスの“Hurry Up This Way Again”、オージェイズ“Let Me Make Love To You”、デルフォニックス“Didn't I(Blow Your Mind This Time)”などの名バラードを、音数を絞ったオーセンティックなスタイルでアレンジし、レジーナの深い歌を引き出している。ギターにマーロン・マクレインが参加。 *林

 

GABRIELLE Gabrielle Go! Discs(1996)

90年代も半ばを過ぎて、R&Bシーンの最前線からは徐々に退いていく一方、重鎮的なステイタスによって仕事の幅は広げていったF&M。意外やスウィング・アウト・シスターの“Heaven Only Knows”も手掛けた96年には、UKアーバン・ポップの人気ヴォーカリストに招かれて2曲を制作していた。特に“If I Could”は抑制の効いたグルーヴで粘るファンクネスを醸造していく佳曲だ。 *出嶌

 

SOMETHIN' FOR THE PEOPLE This Time It's Personal Warner Bros.(1997)

90年代のF&M関連ワークスにてスタジオ経験を積んできたオークランドの制作ユニットで、アーティスト・デビューしてのこの2作目からは“My Love Is The Shhh!”が大ヒットに。その中心メンバーで現在ニーヨの片腕的な存在となっているカーティス“ソース”ウィルソンはアン・ヴォーグの4~5作目にも参加し、今回の新作にも駆けつけている。 *出嶌

 

EN VOGUE EV3 Elektra(1997)

表題は3作目であること以上に3人での再出発を込めたもの。キャリア最大のヒットとなったドーン・ロビンソン在籍時の先行シングル“Don't Let Go(Love)”でのオーガナイズド・ノイズをはじめ、ベイビーフェイスやデヴィッド・フォスターら外部の制作陣が大挙参加。F&M関与の6曲中ではスムースなファンク“Let It Flow”のクールネスがトリオの新たな一体感を示す出来映えに。 *出嶌

 

CLUB NOUVEAU Consciousness Faze One(2014)

これは番外編。ジェイ・キングを中心にF&M脱退後もメンバーを入れ替えつつ活動し、解散や再結成を経てきたクラブ・ヌーヴォーの現時点での最新アルバムだ。ここでは別掲のデビュー作でリード・シンガーを務め、F&Mと共にグループを離れてソロ・デビューしていたサミュエルが復帰している。エリック・ヤングやラリー・ダンらを迎えた西海岸ブラコンの正統深化型ともいえる一枚。 *出嶌