『One/Three』(2001年)、『Two/Three』(2006年)を発表したきり、ダブリーとしての動きはほぼ途絶えていたタッド・マリニックス。その後はJTCなどの諸名義を用いつつ本道にあたるテクノ/ハウス路線に立ち戻っていた彼だが、ここにきて12年ぶりに3部作の完結編を投下した。かつて〈ヒップホップmeetsエレクトロニカ〉とも形容されたグリッチ・ホップ作法が(ちょうど彼と入れ替わるように台頭した)フライング・ロータスらを通過した現代の耳にどう響くかは知らんけど、ギルティ・シンプソンやファット・キャットらデトロイト勢からGFK、ドゥーム、ジョンウェインといった明快な声が電子迷宮で蠢く様子は、往年のアンダーグラウンドな薫りを届けてくれるものだ。マスタリングがダディ・ケヴというのも完璧。