INTERVIEW

STRUGGLE FOR PRIDE『WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE.』ハードコア・パンク本来の実験/先鋭性を有する彼らがついに帰還!

STRUGGLE FOR PRIDE『WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE.』ハードコア・パンク本来の実験/先鋭性を有する彼らがついに帰還!

 その鳴りは他に類を見ない暴力的なものであるが、一瞬にして五感が開くような、ある種の解放感に満ちた激烈なサウンドによって、音楽シーンで際立った存在感を放ってきたハードコア・パンク・バンド、STRUGGLE FOR PRIDE。ノイズの彼方で咆吼し、ハードコア・パンク本来の実験的かつフリーフォームな表現を継承した先鋭的なスタンスを体現するフロントマンの今里は、その成り立ちをこう語る。

 「バンドの結成は18歳の夏休みですね。ギターのグッチン、ベースのヤンクンと合宿状態で毎日ずっと遊んでいたんですけど、遊び倒しすぎてやることがなくなり、〈バンドでもやる?〉って。まさか今もバンドを続けてるとはまったく思ってませんでしたね」(今里:以下同)。

 そして、2006年に発表され、このたびリイシューの運びとなったファースト・アルバム『YOU BARK WE BITE』は、ハードコア・パンクやヒップホップ、ハウスやテクノ、レゲエなどが横並んだ伝説のイヴェント〈RAWLIFE〉の時代を象徴する名作となった。

 「自分たちにはその時にやってることと周りの状況を詰め込むことしかできないんです。だから、俺にとって『YOU BARK WE BITE』は音楽のアルバムではなく、写真のほうのアルバムみたいなもの。それを久々に読み返して、同級生の写真を外したり(笑)、〈この写真、今なら入るじゃん〉って加えたようなものが再発盤です。追加収録したMOBS“NO MORE HEROES”のカヴァーは、2006年当時はメンバーの方と連絡がつかなくて許諾が取れなかったので、その曲の長さのぶんだけ無音で空けておいたんですけど、2016年にMOBSが復活したので会いに行ったら快諾していただけたので、今回収録の運びとなりました」。

STRUGGLE FOR PRIDE WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE. WDsounds/AW/LR2(2018)

 その後、2009年にEP『CUT YOUR THROAT.』を発表するも一時的に活動を休止していた彼らは、2016年にライヴ活動を再開。新曲をプレイしながら、ブランクを埋めずにそのまま踏み潰すような壮絶なライヴを繰り広げ、12年ぶりとなるセカンド・アルバム『WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE.』をここに完成させた。彼らが見てきた〈東京〉を焼き付けたというこの作品には、カヒミ・カリィ、中納良恵(EGO-WRAPPIN')の他、ECD、小西康陽、東京モッズ・シーンの象徴だったTHE HAIRの杉村ルイ、GORE-TEX、NIPPS、FEBB、KNZZ、敵刺、BBH、BUSHMIND、 DJ HIGHSCHOOL、酒井大明(OHAYO MOUNTAIN ROAD)、DRUNK BIRDSら多岐に渡るアーティストたちが参加している。

 「音楽の繋がりがあると同時に友達の繋がりがあって、友達が何かやってるみたいだから遊びに行こう、と。すると〈一緒にやらない?〉っていう話にもなるじゃないですか。東京は狭い街だし、人の繋がりも被ってますから。カオスUKの『Enough To Make You Sick!』とマッシヴ・アタックの『Protection』のアートワークが一緒なのも、地元のブリストルで通ってるバーが一緒で仲が良かったからという話と一緒で。特別なことではなく、音楽の歴史においては常に起こっていたことだと思うんです」。

 ボストンのパンク・バンド、ブルーザーズのヴァージョンを参照したビリー・ジョエル“You May Be Right”のカヴァーにカヒミ・カリィ、ベニー・シングス“Make A Rainbow”のカヴァーに中納良恵をそれぞれフィーチャー。DREADEYEのヴォーカリストでもあるDJ HIGHSCHOOLによるトラップ・ビートがアルバムの重力を変調させたりと、スリリングな音楽体験がリスナーを待ち構えている。アルバムの詳細は次号のインタヴューに譲るが、ここから先、STRUGGLE FOR PRIDEは新作に収録の曲名の如く、“CHANGE THE MOOD”の意識でふたたびリスナーをエネルギーの渦に導くことになる。さあ、まだまだ遊びを続けよう。

 


STRUGGLE FOR PRIDE
今里(ヴォーカル)、グッチン(ギター)、ヤンクン(ベース)、陽(ドラムス)から成る93年結成のハードコア・パンク・バンド。less than TVからのスプリットEPのリリースを重ねたのち、2004年より3年連続で音楽イヴェント〈RAWLIFE〉へ出演。2006年には初のアルバム『YOU BARK WE BITE』を、2009年にはEP『CUT YOUR THROAT.』を発表している。その後は何度かの活動休止/復活を経て、2016年に活動を再開。精力的にライヴを行いながら、楽曲制作をスタート。このたび、初のライヴ音源との2枚組仕様となる12年ぶりのニュー・アルバム『WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE.』(WDsounds/AW/LR2)を5月23日にリリースする。

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