COLUMN

カニサレス『洞窟の神話』 8年ぶりとなるフラメンコの新作アルバムついに完成&9月には来日公演も!

Photo by ISHIDA MASATAKA

8年ぶりとなるフラメンコの新作アルバムついに完成

 フラメンコ界の旗手というより、現代ギター界におけるスーパースターと言える存在のカニサレスが8年ぶりにフラメンコのアルバムをリリースした。そのタイトルは『洞窟の神話』。プラトンの哲学に基づく言葉であり、フラメンコの音楽を〈洞窟の中のおぼろげな光〉と捉え、クラシック的な音楽理論を〈輝かしい光の言語〉と捉えて、その両者のカニサレス的な統一を試みたアルバムとも言えるのかもしれない。これまでに、ファリャ、アルベニス、スカルラッティなどスペインに関わりの深いクラシックの作曲家の作品をギター用に編曲してきた、その経験が多く活かされてもいる。

 とは言っても、ベースとしている音楽はフラメンコであるので、これまでのカニサレスのオリジナル・アルバムと同じように、シャープなメロディ・ライン、軽快なリズム感、そして独自の和声感覚といった彼の個性は全面展開されている。ひとつのモダン・フラメンコ作品として楽しむことも出来れば、もっとアグレッシブなギター音楽として味わうことも出来るし、様々なクラシカルなテイストを楽しむことも可能。そう言った意味で、クラシカル・ギターの総合的な魅力を詰め込んだアルバムとも言えるのだ。これはカニサレスにしか出来ないことだろう。

JUAN MANUEL CANIZARES 洞窟の神話 PLANKTON(2018)

 第1曲目に収録された“洞窟の神話”は、セギリージャのリズムをベースに書かれ、まさに現代的なフラメンコの世界、パコ・デ・ルシアの後継者としてのカニサレスの音楽性を教えてくれる作品だ。第2曲目から第5曲目までにはパルマ(手拍子)も入っており、素晴らしくノリの良い音楽が展開される。そして、第6曲目の“雪の砂漠”では特注したという低音ギターの音も収録され、独特の幅広い音響の世界を聴かせる。全10曲の流れを読むと、それがひとつの物語、カニサレスの人生を振り返るストーリーのように思えて来る。これはとても深い意味を持ったアルバムで、すべての音楽ファンに聴いて欲しいものだ。

 


LIVE INFORMATION

カニサレス・フラメンコ・クインテット 来日公演2018
○9月16日(日)福島・いわきアリオス中劇場
○9月17日(月・祝)山形テルサホール
○9月20日(木)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
○9月22日(土)静岡音楽館 AOI
○9月23日(日)神奈川 よこすか芸術劇場
○9月24日(月・休)東京 三鷹市公会堂
○9月26日(水)宮城 えずこホール
○9月28日(金)千葉 船橋市民文化ホール
○9/29(土)東京 めぐろパーシモンホール 大ホール
○9/30(日)所沢市民文化センターミューズ マーキーホール

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