〈いいバンドになったなあ〉というのが素直な感想。ダブやレゲエを軸にした音作りのイメージがまだあるかもしれないが、フォークっぽい曲をエレクトロニクスと掛け合わせた近年のアニマル・コレクティヴを思わせる“Swansong”、室内楽風のアレンジがちょっとベイルートのような“末裔のバラッド”など、この6作目ではかなりハイブリッドなサウンド・プロダクションが印象的だ。その一方で、ポップかつ爽やかなメロディーに親近感が湧く“春のもえがら”などの曲を衒いなく聴かせることもできるようになっている現在の彼ら。結成から10年以上が経過し、前作以降は蔡忠浩、森本夏子、辻凡人の3人編成となったが、いまがもっとも柔軟な状態でポップ・ミュージックに挑めているのかもしれない。