米国の若者を中心に蔓延しているポピュラーなドラッグ、ザナックス(Xanax)からMCネームを取ったカリフォルニアの若きラッパー、リル・ザン。しかしながらブレイクのキッカケとなった昨年発表の“Betrayed”ではみずからの経験から反ザナックスを訴え、それとAnarchy(無秩序)を掛け合わせたワード(顔にタトゥーも入れている)を本ファースト・アルバムのタイトルに冠している。オープニング曲の“What I Am”でも〈ザナックスは何もプラスにならず、友人関係を破壊するだけ〉と説くようにリピート。続く“Wake Up”は薬物乱用時の昏迷状態を想起させるなど、アンチ・ドラッグな思いは作中の要所で綴られており、昨年11月にリル・ピープがオーヴァードーズで急逝して以降、若手ラッパーたちが次々とアンチ・ドラッグを公言する流れもあってその急先鋒に立つ作品となるはずだ。“Betrayed”の再録に加え、リッチ・ザ・キッドとヨー・ゴッティが参加した同曲のリミックス・ヴァージョンも収録。