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【連載:IN THE SHADOW OF SOUL】[第107回]稀代のソングライター、ラモント・ドジャーのシンガーとしての顔

タイムレスな自曲の魅力を自身の歌で証明した『Reimagination』

 このたび登場した『Reimagination』の意図は、MOR~スムースジャズ的なスタイリングを粋に施されていた過去のセルフ・カヴァー集『An American Original』~『Reflections Of Lamont Dozier』と比べることでより鮮明になってくる。選曲がかなりかぶっているだけに聴き比べてみるのもおもしろいところだが、今回のラモントはフレッド・モリンをプロデューサーに迎え、ピアノやアコギの伴奏によるごくシンプルな意匠を選択。極限まで削ぎ落とされたアレンジから浮かんでくるのは、楽曲構成そのものの巧みさと、ゴスペルやリズム&ブルースの根源に立ち返ったようなプリミティヴでスピリチュアルな歌心だ。

 その側面を力強く盛り上げているのがカントリーやブルース方面を中心とするトラディショナルな顔ぶれであることも興味深いポイントとなるだろう。リー・アン・ウーマックやジョー・ハーマン、ルーマー、グレゴリー・ポーターといったモダンな名前に加え、グレアム・ナッシュやトッド・ラングレン、クリフ・リチャードといった大御所たちも参加。一聴すると地味に響きそうな音像から深い滋味を引き出している。

 そうした簡素な歌たちがある種のデモテープっぽさを帯びていることを思えば、逆にここでラモントの披露しているスタイルからモータウン時代のオリジナル・ヴァージョンが生まれたと考えることも決して難しくないだろう。そう思えば、最低限のキモを押さえたここでのアレンジこそ、作者のラモント自身による楽曲の本質の証明のように響いてくるのではないだろうか。 *出嶌孝次

『Reimagination』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

 

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