ESSENTIALS
ラモント・ドジャーの歌うアルバム

VARIOUS ARTISTS Tamla Motown The Singles Collection Volume One Real Gone(2014)

こちらは59年1月から62年1月までのモータウンのシングル音源をほぼ網羅した廉価4枚組。ということで、本文中にあるヴォイス・マスターズ時代からラモント・アンソニー名義のソロ録音に至るまでの初期曲はこれでチェックするのが早い。自作の“Popeye(The Sailor Man)”~“Benny The Skinny Man”は大らかな時代を感じさせる。 *出嶌

 

VARIOUS ARTISTS The Soul Of Detroit Not Now(2013)

これまたモータウン・クラシックをどっさり詰め込んだ廉価コンピとなるが、トップスターたちの定番ヒットでは終わらない内容で、ラモント・ドジャー名義での初シングル“Dearest One”(62年)のAB面が手軽に聴けるから侮れない。H=D=HによるA面の人懐っこさはすでにシーンを席巻しつつあったモータウン・サウンドそのもの。B面の“Fortune Teller(Tell Me)”もリズミックに聴かせる作りだ。

 

LAMONT DOZIER The New Lamont Dozier Album: Love And Beauty Invictus(1974)

ABC在籍時にラモントのシンガー・プロジェクトとして編纂された70年代初期のインヴィクタス音源集。インストも含むが、ホランド=ドジャー名義での哀愁ソウル“Why Can't We Be Lovers”などラモントのエモーショナルな歌に光を当てた企画で、デトロイト・ノーザンの躍動感も伝える。“New Breed Kinda Woman”はフィリーの影響が窺えるダンサーだ。 *林

 

LAMONT DOZIER Out Here On My Own ABC(1973)

ABCからのソロ・デビュー作。盟友マッキンリー・ジャクソンの制作で、西海岸に拠点を移した面々がレイ・パーカーJrも含めて参加し、シンガーに徹したラモントはポール・ライザーやジーン・ペイジらのアレンジによる壮麗な弦をバックに歌う。組曲風の“Trying To Hold On To My Woman”やウォーターゲート事件に触発された“Fish Ain't Bitin'”など、ニュー・ソウル的なアプローチが目立つ。 *林

 

LAMONT DOZIER Black Bach ABC(1974)

名作曲家らしく〈黒いバッハ〉を謳った2作目。引き続きマッキンリー・ジャクソンが制作を手掛けるが、ここでは大半の曲を自身が書き、作家としての幅広さを見せる。アイザック・ヘイズにも通じるドラマ性の高い長尺曲“Shine”やカントリー調の“Let Me Start Tonite”など、多角的なアプローチがこれまたニュー・ソウル時代ならでは。勇ましい“Put Out My Fire”にはウィリー・ハッチ感も。 *林

 

LAMONT DOZIER The ABC Years And Lost Sessions Expansion(2000)

2000年に出されたABC時代の編集盤。1、2作目からの抜粋に加え、ここでは75年に発表予定だったお蔵入りアルバム『Prophecy』からマッキンリー・ジャクソン制作の4曲が初公開となった。いずれも前2作の流れを汲む曲で、“Prophecy”“Something To Fall Back On”はマージー・ジョセフがラモント制作の76年作で取り上げ、前者はベティ・エヴェレットもディスコ調にして歌っている。 *林

 

LAMONT DOZIER Right There Warner Bros.(LAMONT DOZIER )

ワーナーでの1作目。制作は自身で、西海岸の腕利きを従え、フォー・トップスに提供した“It's The Same Old Song”のセルフ・カヴァーを筆頭に、ダンサブルなディスコ調や洒脱でメロウなソウルを聴かせる。特に旧友のリオン・ウェアに通じるやるせないミディアム“Ain't Never Loved Nobody(Like I Love You)”が人気。オデッセイが取り上げた“Going Back To My Roots”を含む次作も同路線だ。 *林

 

LAMONT DOZIER Working On You Columbia(1981)

コロムビアでの一枚。セルフ・プロデュースで、西海岸ソウル~AOR界隈の精鋭や馴染みのデトロイト勢によるタイトな演奏とベンジャミン・ライトらのアレンジによるゴージャスな弦をバックに歌う。ビーチ・ミュージックのシーンでも人気の“Cool Me Out”のようなノーザン・ソウルの80年代的解釈をはじめ、切ないラヴ・バラードやモダンなミディアムなどを情熱的な歌で聴かせる好盤だ。 *林