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FEBB AS YOUNG MASON
クリエイティヴなまま駆け抜けたストリートの才能

 昨年に『So Sophisticated』の取材で顔を合わせたFEBBは、負けん気の強そうな眼差しで以降の創作に向けての展望をイキイキと話してくれたものだった。こういう言い方も野暮なのは承知だが、彼が生きているうちにもっと真正面から評価されるべき才能だったのは間違いない。東京出身のFEBBは94年生まれ。もともとは10代半ばでDJ活動を始め、クラブ・イヴェントを主催するなかで出会ったSPERBとCracks Brothersを結成する。その初EP『STRAIGHT RAWLIN'』(2011年)を経て、2012年にはソロでコンピ『BLACK SWAN 2』にも参加。この頃に彼に注目した人も多かったはずだが、同年末にFla$hBackSとして発表した『FL$8KS』(2013年にCD化)はさらに大きな転機となった。

 そのFla$hBackSを組むJJJやKID FRESINOと比べてもひときわオーセンティックなヒップホップ・マインドの濃い彼のセンスは、スキルフルなトラックメイキングと、10代ながらも貫禄のある不敵なラップで高い評価を受けることとなる。そうした魅力と実力の結実した初のソロ・アルバム『THE SEASON』(2014年)以降は自作のリリースこそ空いたものの、CampanellaやLORD 8ERZ、YOUNG JUJU、ISSUGI、仙人掌らの作品にビート/ラップで参加。そしてDOGGIESの結成を経て、2017年は怒涛のリリース・ラッシュを展開していくのだった。

FEBB AS YOUNG MASON BEATS & SUPPLY II TROOP(2018)

 その皮切りになったビート集『BEATS & SUPPLY』に新曲“HONEY”が収められたFla$hBackSの音源は、前後して客演したJJJの“2024”が最後となるも、並行して複数のプロジェクトを推進していた彼の創造物は今後もさまざまな形で世に出てくることだろう。そうした未来にも思いを馳せつつ、まずは生前に完成されていたビート・アルバム第2弾『BEATS & SUPPLY II』と、今回のCracks Brothers『03』を思う存分堪能しておきたい。