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ファーザー・ジョン・ミスティの次を狙う男たち

 インディー・アメリカーナ界隈でファーザー・ジョン・ミスティ(以下:FJM)が無敵状態になりつつあるいま、その〈ポスト〉探しの動きも徐々に活発化してきました。特に注目を集めているのが、『God's Favorite Customer』を含む全FJM作品に関与してきたジョナサン・ウィルソン。5年ぶりに『Rare Birds』で表舞台へ復帰したばかりで、〈ジャクソン・ブラウンmeetsアーサー・ラッセル〉とでも表現できそうな折衷フォークを鳴らし、才気を迸らせています。続いては、同じく『God's Favorite Customer』で大活躍しているジョナサン・ラドーがプロデュースした、NY生まれのマックス・クラークによるソロ・ユニット=カット・ウォームス。先頃お目見えした初作『Hollow Ground』ではエヴァリー・ブラザーズに憧れるマックス青年の魅力がラドーによって存分に引き出されていて、〈インディー時代のハリー・ニルソン〉なんて異名を取るFJM×ラドーのコラボと繋げて楽しみたい出来映えに。

 ほかにも、ロイ・オービソン風のロマンティックな歌声が特徴のマーロン・ウィリアムズ、ウッズを抜けて独り立ちしたケヴィン・モービー、高いピアノ技術と苦み走ったダミ声が持ち味のデクラン・オドノヴァン(FJMの“Just Dumb Enough To Try”が気に入ったらぜひ!)、バイセクシャルの立場から愛や宗教観を物語仕立てで描いていく歌詞にジョシュも太鼓判を押すエズラ・ファーマンなどなど、ネクストFJM候補を挙げたらキリがありません。さて、次にブレイクするのは誰かな? *山西絵美

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