ドイツ・リートを得意とする実力派デュオによるヘルダーリン歌曲集。彼の詩につけられた曲は500にも及び、中でも20世紀に入って以降に多く生まれています。ここではプフィッツナー、ヒンデミット、ブリテン、ロイター、ラストはタイトル作のジーメンスまで、様々な作曲家の作品を集めています。全体的に内省的な印象の曲が多く、それだけに一枚聴き進める内にこの孤高の詩人の世界に徐々に魅了させられていきます。端正で美しい声と表現が光る長島さんとそれにぴったりと寄り添い豊かな表現で応える息のあった梅本さんとの競演は充実した素晴らしいもので、これぞ歌曲演奏の真髄だと感じさせます。