小西康陽の携わった古今東西の楽曲90曲を、発表年代順にコンパイルした5枚組。DISC 1、2は〈黎明期〉、DISC 3は〈成長期〉、DISC 4は〈円熟期〉、DISC 5は〈超円熟期&レアトラック集〉とでも言ってしまえばわかりやすいのかもしれないが、楽曲のムードはさまざまで、いわゆる名曲から、もしかしたらアーティストにとっては黒歴史にしたいかもしれない珍曲まで、一口に分類ができないという事実が氏の作風の振り幅の広さを示している。そんななかDISC 3からは、一聴しただけで〈あ! 小西サウンド!〉とわかるようなおなじみのフレーズが多数登場し、渋谷系の一端を知る上での副読本的作品としても楽しめるのでは。個人的には、雑誌付録のソノシートにしか収録されていなかった小西康陽とゴーゴーアタックスの楽曲がピチカートの“トゥイギー対ジェイムズ・ボンド”の引用元だったのが新発見。オフィシャルサイトではご本人が〈こうした作品集をまとめてしまうと、ああ自分のキャリアもだいたい終わったんだな、という感慨がまっ先に浮かびます〉と仰られてますが、小西さん、これからも一層のご活躍を!