《宗教改革交響曲》に合唱を付すという意欲的な企画と聞いて食指が動かぬわけがない。2017年に教会音楽監督トルステン・シュテルツェクによって編曲された珍しい版。ルターの賛美歌を引用した終楽章に同曲を合唱で乗せるのだからもちろん違和感はないのだが、変奏やフーガの上に主旋律が更に乗ることでメンデルスゾーンの楽曲展開が浮き彫りになり、この曲の魅力を再発見できる。カンタータに近い第2交響曲(讃歌)とはまた趣の違う合唱付き交響曲で新鮮だ。なおデンマークのメンデルスゾーンことゲーゼの第3交響曲の新録も収録。芳醇な初期ロマン派の香りで、近年稀に見る素晴らしいプログラムである。