クラシックをルーツとするふたりの奇跡のデュオ・アルバムが完成

 ギタリスト木村大のアルバム『ECHO』(2016年)でピアニストの榊原大がゲスト参加をしたことからコラボレーションを開始。そのアルバム・ツアーで一緒に全国30公演回り、確かな手応えがこのアルバムを作る企画に発展した。

木村大,榊原大 Rosso Nero キング(2018)

 「1ヶ月ほどのプリプロ期間に曲とアレンジを決め、その後2週間ほどで4回スタジオ入りして完成させました。共通のルーツであるクラシックに題材を求め、音の空間が活かせるように2人だけでやろうということに決めてね……」(榊原)
「楽器編成が増えるほど、僕たちの純度が薄くなるような気がするんです。それに2人だとフットワークが軽い」(木村)

 ピアノとギターはどちらも旋律と和音を同時に奏でられる楽器なので相性が悪いというのが定説。しかしそれを克服し、美しいハーモニーと響きを創り上げた。

 「ピアノとギターの音が重なってマスキングされないように気をつけなくてはならない。でもギターとピアノのデュオにはジャズやラテン系で素晴らしい演奏がたくさんある。よく聴けば、名演はプリプロを経てしっかり構築されているのが分かるね」(榊原)
「確かにピアノはどこの音域をチョイスするかという、バランス感覚が必要。お互いに弾き過ぎないことも大切です。例えば重なっている音を削ぎ落とすと、和音の中からメロディが浮かび上がってくる。それだけに細かく分析しながら作り込む楽しさがありました」(木村)
「アレンジは構成を一番に考えたね。心地よく聴いてもらうためには3~4分というのサイズの中で起承転結を考えなければならない。2人お互いの顔が見えるようなオープンなアレンジかな」(榊原)
「クラシックの曲が持つメロディのキャッチーさ、それがあればこそ良いアレンジが生まれ、自然と曲に寄り添うことが出来たのではないかと思います」(木村)
「印象に残っている曲は《アラベスク第1番》。納得できる音色で弾くという、高いハードル設定で自分の首を絞めたけど、おかげで鍛えられたよ(笑)」(榊原) 
「僕は《アストゥリアス》です。原曲のスペイン色を敢えて抜いてモダンに仕上げました。盛り上がる箇所だけでスペイン色を出すというアレンジです」(木村)

 アルバムタイトルはイタリア語で、ロッソが〈赤〉で情熱的なギターの調べを、ネロは〈黒〉でピアノの普遍性をイメージ。真紅と深黒が交わる瞬間、新たな音の響きが生まれた。

 「どこかで聴いたことのあるメロディだと感じるはず。クラシックを身近に感じてもらいたい」(木村)
  「ピアノとギターの優しい音色が心地よい、飽きずに長く聴けるアルバムになったと思います」(榊原)

 


LIVE INFORMATION

『Rosso Nero』発売記念ツアー
○7/21(土)山口市大海総合センター(らんらんドーム)
○7/26(木)NAGOYA Blue Note
○7/27(金)大阪 ザ・フェニックスホール
○8/24(金)和歌山・デサフィナード
○8/25(土)鈴鹿・どじはうす
○10/18(木)東京 浜離宮朝日ホール
○10/19(金)金沢市アートホール
○11/27(火)札幌コンサートホールKitara小ホール
○1/19(土)岡山シンフォニーホールイベントホール
○1/20(日)広島・三原市芸術文化センターポポロホワイエ

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