信じたくないがラスト作。触れ込みの通り打ち込みを軸とした新たな挑戦を試みた作品で、依然として前進を続けているのが驚異的。少なめの曲数や打ち込みの精度など未完成に感じる部分もあるが、それが却って生々しいし、なにより未知の音楽に触れようとする昂揚と感動が宿っている。チャットでインダストリアルなビートやラップ曲が聴けるワクワク感たるや。最後だからこそ成し得ることもある。高橋久美子作詞の“砂鉄”はまさにそれで、友達とも仕事相手とも違う、ほかならぬメンバーのことを綴った歌。シンプルな筆致に落涙必至。橋本絵莉子の子を想う母としての視点も特筆もので、彼女の息子が歌で参加した“びろうど”は未来をポジティヴに照射する。なんて美しいエンディングだろう。