横浜アリーナさえも通過点にして、時代を完全味方につけた6人はどこへ向かう? さらに遠心力を増したニュー・シングルはその未来を占う美しき新境地だ!

次へ進むための通過点

 「それまで横アリは〈旧BiSが解散した場所〉っていうイメージが強くて、そこに立てるなんて凄いことだなって思ってました。でも、実際は一瞬で終わってしまって、〈あれ?〉みたいな感じ」(モモコグミカンパニー)――この、拍子抜けするほど率直な感想こそがグループの現在地を言い当てた率直な言葉なのかもしれません。3月のシングル“PAiNT it BLACK”がついに初のオリコン週間1位を獲得し、その姿をTVやCMで観ることも珍しくなくなったBiSH。4月の中野サンプラザ公演で〈BiSH pUBLic imAGE LiMiTEd TOUR〉を完走し、5月22日には過去最大規模となる横浜アリーナ公演〈BiSH “TO THE END”〉を大成功のうちに終えた彼女たちですが、当日の6人を取り巻いていた不思議な風格は、そんな晴れの空間すらゴールではないと思わせるものでした。そこに早くも届いたのが初の両A面シングル『Life is beautiful / HiDE the BLUE』です。

BiSH 『Life is beautiful / HiDE the BLUE』 avex trax(2018)

 

――改めて振り返ってみて、横浜アリーナはどんな思い出になりましたか?

アイナ・ジ・エンド「横アリだからって、いつもと違うことを意識したりはしなかったんですけど、最初に立った瞬間は、〈でっか~〉みたいな感じでしたね(笑)。奥の席の人の顔が照明とかで見えなくて、〈ホントに人いるのかな?〉みたいな気持ちになっちゃうぐらいで。でも、MCの時にカッて客席が照明で照らされた時に、ホントに全員の顔が見えて、〈あ、ちゃんと来てくれてるんだ〉ってわかって、そこからいつも通り1対1で歌う感覚になれて、ちょっとずついつものBiSHっていうか、いつものアイナで歌えました。動物園みたいになって楽しんでくれてるのがいっぱい見えて、〈いつもと変わんないな〉〈自由なんだな〉って思うと、愛おしくて楽しかったです」

ハシヤスメアツコ「うん、大きいなっていうのが第一でしたね。1万人規模のワンマンが初めてだったので、もっと緊張するかな?って思ったんですけど、横浜アリーナに辿り着くまではずっと緊張してて、当日は実際そんなに緊張しなかった、というか、緊張できる余裕があんまなかったですね」

アユニ・D「野音だったり、幕張だったり、大きい会場でやる時ってどうしても〈ここが勝負所だ〉みたいになって、みんなもたぶんプレッシャーに押し潰される感じになっちゃってたんですけど、今回の横アリはツアーのファイナルも終えて、次のツアーまでの……何だっけ? えっと」

モモコグミカンパニー「通過点?」

アユニ「そう、通過点っていう意識で全体がやっていたので、大きい会場でも気持ち良くできたなと思います」

リンリン「やる前は、人生で楽しかった思い出を訊かれたら横アリが一番に浮かぶような日にしたいって思ってたんですけど、意外と……すぐ忘れそう(笑)。何か、緊張とかプレッシャーが重なるとかじゃなくて、普通のライヴじゃないけど、普通に通り過ぎれて。先がもっと見えた感じがしました、大っきい将来の」

――セットリストも特別なセレモニー向けじゃなく、通常運転みたいな感じでした。

セントチヒロ・チッチ「そうですね。チーム全員の気持ちとして、特別感というよりかは、この先のBiSHに向かっていくうえでの第一歩みたいな、横浜アリーナはそういう位置付けかなって思っていて、だからこそのああいうセトリかなって。そこで新曲2つも初披露させてもらって」