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ミスター・ビッグ 『ライヴ・フロム・ミラノ+ジャパン2017 オフィシャル・ブートレグ』 エリック・マーティン単独インタヴュー

ミスター・ビッグ 『ライヴ・フロム・ミラノ+ジャパン2017 オフィシャル・ブートレグ』 エリック・マーティン単独インタヴュー

「続ける意志はあるよ。来年は30周年だし、パットの残した功績、彼の人生をみんなと祝いたいという気持ちもある。ビリー、ポール、そしてマットも同じ気持ちを持っていると思っている」

MR.BIG最新のライヴ映像・音源作品の舞台となったのはイタリア、ミラノ。〈ディファイング・グラヴィティ・ワールド・ツアー〉の最終盤に当たる公演で、パット・トーピー存命時、最後のライヴ映像・音源となった。『ライヴ・フロム・ミラノ+ジャパン2017オフィシャル・ブートレグ』についてヴォーカリストのエリック・マーティンに聞いた。

MR. BIG ライヴ・フロム・ミラノ+ジャパン2017 オフィシャル・ブートレグ WOWOW(2018)

  「当日は雨でね。屋内だから関係ないと思っていたけれど、僕らの前にバンドがふたつも出て、会場内に熱気と湿気がこもってえらいことになっていた」とエリックは収録当日の様子を語る。

「演奏開始時には観客も半ゾンビ状態で、ステージ上も熱帯夜みたいだった。ファンが最後まで持つか心配だったけど、イタリアのファンは明るいよね。ツアーの最終盤にふさわしい楽しいショウになったよ」とエリックが語るように半ゾンビ状態のミラノの観客の最後のガッツを搾り取った完全燃焼ライヴの模様はブルーレイ、CDにしっかりと記録されている。そして、このブルーレイ・CDが遺作となったパット・トーピーに関しては「パットはこの頃、満足に睡眠を取るのも困難な状態だったけど、映像を観ればわかると思うけど、そんな苦しい状態を一切感じさせない。最後までロックしていたよ」と語る。

日本盤には独自企画のジャパン2017オフィシャル・ブートレグがCD3として追加される「まったく、いつ録音していたんだか。油断も隙もないよね。日本はサポート・バンドがないし特別な思いもあるから演奏が他の国より長い。他では演奏しない曲も多い。パット物語のアニメも日本用に作ったようなものだしね」

パットが毎回楽しみにしていた武道館公演。そのアニメのエンディング部分からあの感動的な〈レッツ・プレイ!〉というコメントも含めた“トゥ・ビー・ウィズ・ユー”はパットの武道館における最後のドラム演奏となった“ジャスト・テイク・マイ・ハート”と共に収録されている。

このCDのみで聴ける曲も多い。「さっきも言ったけど日本では演奏時間が長い。ジャパン・ツアーが始まった時には用意が十分ではなかったから以前演奏していた曲を加えたんだ。“テイク・ア・ウォーク”や“ババ・オライリー”はツアー前半のみ演奏した曲。“フォーエヴァー・アンド・バック”は日本の後は、ショウの時間が短くなったのでやらなくなった」とのこと。

武道館と仙台のみで演奏されたレア曲メドレーに関しては「あれはポールのアイデアだね。武道館用のスペシャルとして企画した。名古屋のバックステージでポールとビリーがまとめ上げた。武道館と仙台のみだから2017年ツアーにおいてはレアな曲だよね」

その2017ツアー屈指のレア・トラック“ネヴァー・セイ・ネヴァー”~“CDF-ラッキー・ディス・タイム”~“ミスター・ゴーン”は仙台音源からポールのギター・ソロと“オープン・ユア・アイズも含め16分越えのガッツリ系ロング・ヴァージョンで収録されている。

楽器持ち替えカバー曲、グランド・ファンクの“アメリカン・バンド”に関しては「僕は毎度のベースだった。パット最後のリード・ヴォーカルになっちゃったね」とエリックが語るように、パットにとって日本最後のライヴとなった最終日広島公演の音源が収録された。

インタビューの最後にエリックに今後のことを聞いた。「パットが亡くなって、このトリビュート・ライヴまでMR.BIGとして演奏することはなかった。この後、オーストラリア、アジアをツアーして、その後のことはツアーが終わった時点で話し合うことになると思う。続ける意志はあるよ。来年は30周年だし、パットの残した功績、彼の人生をみんなと祝いたいという気持ちもある。ビリー、ポール、そしてマットも同じ気持ちを持っていると思っている」

 


パトリック・アラン・トーピー
1953年12月13日生まれ。2018年2月7日パーキンソン病による合併症により死去。享年64歳。MR.BIGのメンバーとして誰よりも責任感が強く、バンドのまとめ役としてパーキンソン病と闘いながら最後までメンバーとしての役割を全うし、天に召されました。今も記憶に残る東日本大震災発生直後に行われたジャパン・ツアー時には既にパーキンソン病による影響が出ていたそうですが、人知れず猛練習を積み、誰にもその影響を気付かせることなく、日本のファンに力強い応援メッセージを発してくれました。
2014年にパーキンソン病であることを公表したのちもバンドのメンバーとしてツアーに参加し、その不倒不屈の精神は音楽家としてまた人として我々に多くのことを教えてくれました。最後となった2017年ツアーでは病による影響で満足に睡眠を取ることもままならず、最後の方で幻覚にも悩まされていたそうです。
優れたドラマーでありヴォーカリストであった彼のご冥福をお祈りいたします。

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