リーダーとしてできることは進んでやって支えていきたいなって
――本当にいい関係性じゃないですか。暇なときにLINEしたりとか。同じグループでしょっていう(笑)。
「フフフフ。〈寂しい、何してる?〉みたいな(笑)。よくおもしろがって〈アイドル・グループってホントはどうなの? 仲いいの?〉とか聞かれるんですけど、ホント仲いいんで(笑)」
――Twitterで「メンバーから些細な事でもLINEが来ると凄く嬉しい」って書いてたじゃないですか。
「普段は私から〈かえぽ寂しい〉とか〈ぽんちゃ寂しい〉とか送るんですけど、お互い見つけたおもしろ画像を送り合ったり。〈はさみさんのおまじない〉っていうのがあって、なくしものをしたときにはさみさんにお願いするとすぐ見つかるってKaedeに教えたら、〈はさみさんですぐ見つかった、それだけ〉みたいなLINEが返ってきて、〈うれしい!〉みたいな(笑)」
――それだけで(笑)。いま、ぽんちゃがすごい悩んでるみたいなんですけど、リーダーとしてどう接してますか?
「悩んでるのはすごいわかります。みんなできないときってあるし、私も声が出なくなった時期があって。一回トラウマになっちゃうとそれがどうしても抜けなくなって」
――Nao☆ちゃんの歌はすごい安定してるイメージですけどね。
「いや、けっこう高いキーが来るので、そこが年々出なくなってくるっていうのもあって。一回しくじって出なくなったときに歌うのが怖くなって、なんとか自分で乗り越えなきゃと思って猛特訓して。私も突発性難聴になったとき、グルングルンに目が回るし耳も聞こえないし歌も歌えないし。難聴になりながら歌ってたときもあって」
――それっていつぐらいですか?
「3~4年前かな?」
――その頃、歌が乱れた感じは全然しなかったですよ。
「あのときはホントに歌うのが怖くて。でも、あれ精神的な病気なんで、薬もなくて」
――追い込んじゃいけないわけですよね、ストレスがいちばんよくない。
「はい。追い込めば追い込むほど耳にくるって感じなので、〈大丈夫大丈夫、難聴になったけど大丈夫だよ〉って言い聞かせることができるようになるまで、すごい時間がかかって。いまもたまになったりするんですけど、そのときは焦らないように、〈大丈夫大丈夫〉って。
周りの人に〈難聴で歌がちょっと歌いにくくて〉って話して、あとで〈そういえば難聴は大丈夫?〉って聞かれると、また思い出して難聴になっちゃうときもあって。だから、あんまり考えないようにして」
――うわー……。
「そのときはすごいつらかったです。耳がヤバくて、調べたらこれがずっと続くと耳が聞こえなくなるって出てきて。精神的なものって、なった人しかわからないじゃないですか。ぽんちゃが苦しんでるのは常に他人事じゃなくて、常にどうしたらいいかって絶対に考えてるし。
〈世田谷コンサート〉※が終わったときも、〈こういう精神的なものでこれが当てはまったんだけど、これかもしれない〉ってぽんちゃがLINEに送ってきて、その病状とかどういうことでなるかっていうのを見たときに、〈4ヶ月ぐらい休んだほうがいい〉って書いてあったんですよ。
それでぽんちゃに電話して、〈どう思う? そういう時間が必要なのかもと私も思ってるけど〉って言ったけど、実際いま15周年に向けて忙しいし休みもないし、それがさらにプレッシャーになってるところもあるのかなって」
――だからこそ武道館はいまやるべきじゃないと思ったというか。
「15周年の大きいステージにちゃんとした姿で立ちたいっていうのは当然あると思うので。続けたいって言ってても、ヤバい状況が続くとそうもいかなくなるかもしれないし。昨日、マネージャーにも〈Meguさんが悩んでるから、いちメンバーとしてちゃんと支えてほしい〉っていう話をされて。ウチらも支えたいと思ってるし、ステージを重ねてぽんちゃがどう変わっていくかとかいろいろ試してはいて、アドヴァイスもしてて。
人それぞれ性格があって、この子にはこれは言えるけど、この子には言えないとかもあるじゃないですか。自分から休みを取ってみたいっていうことも言えてないのかもしれないなと思って。Kaedeが学生だったときにKaedeが帰ってくる場所を残しておきたいと思って、ぽんちゃと2人でだいぶ頑張ってたんですけど」
――大学が忙しくて仕事がままならないときに。
「だからそういう気持ちで……。よく〈本人と話をして本人からも休みがほしいと言われたんで休ませます〉とかはあるけど、ぽんちゃは自分から休みたいとは言えない性格なので、そこは自分がなんとか動いてあげなきゃいけないなと思ってます」
――現状のメンタルだと、ヘタしたら休むことで迷惑を掛けてるように思い込んで余計ヘコむ可能性もあるし、そこは難しいですよね。
「そうなんですよ。でも、いまやるだけやってるから、何ヶ月間か休むっていうことも考えていけないかなって思ってて。だからライヴがもしキツかったらライヴはKaedeと2人で出て」
――この先も長く続けていくなら、ちゃんと考えなきゃいけない部分ですからね。
「そうなんですよ。見てるとプレッシャーでできなくなっちゃったり……見てれば誰がどういう子かはわかるので、私もリーダーとして注意するところは注意して、自分も完璧じゃないからそういうのっていまだにキツいなって思ったりするんですけど、でもそれは言える人が言わなきゃって思うし、自分がリーダーとしてできることは進んでやって支えていきたいなって」
この感じのままできたらいいなって
――今日のインタヴューはぜんぜんアホの子じゃなくて、すごいリーダーっぽいですよ。
「フフフフ、ホントですか?」
――ちゃんとした大人のインタヴューになってますよ!
「うわーっ! ……これ、ここまで言って大丈夫ですか?」
雪田「大丈夫じゃないかな」
「ぽんちゃが苦しんでるなら支えて、かえぽが苦しんでるなら支えて、私も支えてもらってるので」
――あれだけ悩んでたかえぽがいまは完全に突き抜けてたぐらいだから、なんとかなるはずなんですよね。
「いまだにみんな悩むところは個々にあって、書き込み見て大丈夫かなと思ったりするんですけど」
――Twitterを見ると相変わらずNao☆ちゃんはモヤッてるなと思いますけど。
「ヘヘヘヘヘ。白黒つけたがる性格なので、そこはあんまりこだわらないようにして。前よりはできるようになったと思うので」
――〈SNSなんか絶対に無理!〉って言ってた頃を思えば、だいぶ成長してると思います。
「いまだにTwitter向きの性格ではないと思ってるんですけど」
――エゴサはしてるんですか?
「しないです。メンタルがやられちゃうんで絶対に見ないですね」
――そうそう叩く人もいないと思いますけどね。
「〈ネギはそんな叩いてる人見ないよ〉って言われます」
――エゴサしても大丈夫なグループですよ!
「かえぽに聞くと、〈こう書いてあった〉とか。かえぽからリサーチするのもあれなんですけど(笑)」
――ツイ廃の人がチェックしてるわけですね(笑)。
「ツイ廃が(笑)。でも、やっぱり自分になくてこの子にはこれがあるってうらやましいなとか、みんなそうなってると思うんですよね、どんなに仲良くても自分にはこれがないとか」
――Negiccoは特にそうですよね、〈自分にはこれがない〉と思ってる人たちの集まり。
「たぶん、いまがいちばんそれぞれいいときなので、この感じのままできたらいいなって」
――この2年ってグループとしては安定期に入った感じじゃないですか。セールス的にもある段階までいって、そこから落ちるわけでもなく、リリイベもそんなに無理しない方向になり。
「ホントに……。昔はよく冬にタンクトップ一枚でステージに立ったなって思って。いまそんなことしたら高熱が出て次の日なんにもできなくなるだろうなって思って(笑)」
――また次々とメンバーが体調不良で倒れて(笑)。
「自分のサイクルもわかってきたので、こうすると体調を崩すとか。28歳のときにスケジュールがヤバくて、メンタル的にも追い込まれたときに喉が膿だらけになって、5日間飲み食いできない状態で」
――そのときクーラーのない病院に入ったんでしたっけ?
「そう! クーラーがなくてホントに死ぬかと思った(笑)。昔からある病院なので設備が昔のままで、夏にクーラーが効かないっていう。3日間寝られなくてノイローゼになるかと思ったんですけど。
そのときに私こうすると体調を崩すんだなってだんだんわかるようになってきて。こないだも膿が出かけてヤバいと思って、生活のリズムを整えて。みんな寝過ぎるなって言うんですけど、私は寝ないとダメで。どんなときでも寝たくなったら寝るようにしてます」
――だから、ついさっきまでも寝てたし。
「はい。豪さんは大丈夫ですか、寝てますか?」
――寝ないと無理ですね。でもホント、今日のインタヴューはだいぶちゃんとしてるじゃないですか。
「ホントですか? シャキーン!」
――4年前のインタヴューで〈ゆっきーがいると話せない!〉って言って追い出してたのが嘘みたいですよ(笑)。
「そんなこと言ってました? ヤバいですね(笑)。ホントにいろいろあったなー」
メンバーが悩んでるならちゃんと支えて、自分も悩んだら2人に話して支えてもらって
――死ぬほどどうでもいいバカ話をしていた人が、30歳になってちゃんと大人になってますよ。
「成長してますかね? クマさんと2人になったとき、〈おまえちゃんと成長してるぞ〉って言ってくれて、ゆっきーにも〈私なんか変えたほうがいいですか?〉って言ったときに、〈何も変わらないでくれ〉って言われたのがうれしくて、変わらないでいようと思って」
――変わる必要はないし、いつ絡んでもさすがの安定感です。
「フフフフ。最近、ファンの人に〈おもしろかった〉って言われることが多くて。お笑いじゃないんだけどなー、みたいな。〈歌よかったよ〉とかじゃなくて、〈Nao☆ちゃん今日もおもしろかったよ〉とか、おもしろいだけになってきたんですよね」
――実際おもしろいからしょうがない部分もありますけどね。
「あ、でも最近ライヴのMCも楽しくて。MCってライヴやる人たちにとって大事というか、MCによってファンの人が来てくれるか来てくれないかもあったりするんじゃないかなと思うようになって。
TRICERATOPSさんのライヴに行ったときに、すごい3人の個性が活かされてておもしろくて、その3人の関係性をNegiccoも出せたらいいなってずっと思ってたんですけど、ステージに立つと飾っちゃう自分がいて。〈きれい〉とか〈アイドル〉とか、そういうモードになっちゃってて。それをどうにか取り払っていけないかなと思ってたから、いまがいちばんいいというか。どうしてこの流れに突入したかがちょっとわからないんですけど」
――気取っちゃいけないっていう思いから、〈いまでしょ!〉の連呼とかになってきたんですかね?
「はい、ありのままに。〈いまでしょ!〉って言いたかったら〈いまでしょ!〉って言って。だから〈トライセラさんのライヴ、MCも最高に楽しかったじゃん、あれだよ! 楽屋にいるときみたいに話そうよ〉って3人で話して。
〈この曲はこれでした、誰々ちゃんどうだった〉〈私はこうでした、誰々ちゃんは?〉とか、それもグループによってはいいと思うんですけど、ネギはそうじゃなくて。楽屋でしてるようなトークがステージでもできたら、お客さんもきっと楽しいんじゃないかなって」
――楽しいです。ハッキリ言えるのは、あれぐらい流行の過ぎた芸人さんの持ちネタを全力でやってるアイドルはほかにいないんですよ、完全にワンアンドオンリーな世界に到達していて。
「いい加減、〈まだやってるんだ〉って言われるようになったんですけど、やってても何も抵抗がないし、2人も〈Nao☆ちゃんは一発屋とか言われて傷ついてる芸人さんたちのネタをちゃんとやることで……〉」
――〈これは一発屋とかじゃなくて、いまだにやり続けられてるぐらい愛されているネタなんですよ〉って証明して(笑)。
「そういうことをちゃんと言ってくれるので、自分の居場所があるというか。メンバーの空気がそうじゃなくて、〈まだやってんの?〉とか〈こいつ何やってんの?〉って感じだったらできないと思うので」
――メンバーからお客さんから完全に受け入れ切ってますからね。
「求めてないときもやってくれるので。こないだの〈世田谷コンサート〉で〈この衣装、新しくなったんです〉って言おうとして、〈この衣装……〉って言ったら、ファンの人から〈いいっしょ!〉って返ってきたんですよ」
――かなり鍛えられてますね(笑)。
「すごいなーと思って。クラクラ(CRCK/LCKS)さんがサポートついてくださったときに、〈すごいチームワークだね〉って言われて。これってNegiccoなんだなっていうか」
――〈ちょっと! ちょっとちょっと!〉とか、他のライヴではまずやらないコール&レスポンスをあれだけ一体になってできるお客さんもいないですからね。
「私も決まると〈よっしゃ!〉って思うので、ファンの人もそういう気持ちになれてるのかな、フフフ」
――とにかく楽しそうにやってくれていればそれでいいんで。とりあえず、このまま続いていけそうですね。
「そうですね、メンバーが悩んでるならちゃんと支えて、自分も悩んだら2人に話して支えてもらって。逆に言ったら15周年に向けた関係性がいまいちばんいいので、今後もずっと一緒にいられたらいいなって思います」
変わらないでいようと思います
――ぽんちゃがここまで悩んでいたのは意外でしたけどね。
「MCとかでも悩みやすい性格で、〈ダメだったのか……〉ってなると逆に発言できなくなる感じはあったので。歌もここまで背負うようになっちゃったっていうのは、どうにかしてあげなきゃと思ってもなかなかどうにかしてあげられないし」
――一時は辞めなきゃいけないんじゃないかと思うぐらい追い込まれてたっていう。
「それが自分だとしてもそう思っちゃうなと思うんで。でも、私もかえぽもぽんちゃが辞めることは望んでないので、それはちゃんと本人に伝えて。ぽんちゃが〈どうしよう?〉ってなったまま病院にも行ってない時期もあったので、そのときは注意したんですよ。〈もっと歌を練習しなきゃとか、病院に行かなきゃとか自分で考えないといけないよ〉って。それで頑張って病院とかボイトレに行くようになったんで。
怒りたくはないけど、あるときに怒って、ぽんちゃも意識が変わったと言ってくれたので。ただ、どれだけいろいろ頑張ってても悩んでるので。私も自分がここにいていいのかなって思うことはいまもあるので……」
――悩んだり迷ったりしながらも、リーダー業ちゃんとできてますよ。
「フフフフ、ホントですか? 〈ちゃんとリーダーやれてんの?〉とか〈これがリーダー?〉とか特典会で言われて傷ついたりして。でも、〈こうして! ああして! 私はリーダーなのよ!〉っていうリーダーにはなりたくないので、そう言われたからってそうしようとも思わないし。そういうときに豪さんが〈ちゃんとリーダーだよ〉って言ってくれてるのを思い出して」
――想像以上にちゃんとリーダーやれてました!
「ホントですか? 〈Negiccoはみんな結婚もしていいよ〉って言ってくれるのも豪さんだし、〈ちゃんとリーダーやれてますよ〉って言ってくれるのも豪さんなので、何かあったときに自分を支えてくれたので、そういう人からいただいた言葉って自分が苦しいときにすごい助けられるなと思うし、メンバーも私が落ち込んでるのを見ると〈そんなことないよ!〉〈冗談だし、言いたい人には言わせておきな〉ってちゃんと言ってくれてるので」
――あるイヴェントでのお客さんの感想に笑ったんですよ。〈吉田豪さん、さすがにNao☆ちゃんの扱い方いちばんよくわかってる。傷つきそうになった瞬間のフォローの入れ方が早い〉って(笑)。
「フフフフ、ホントに助けられてます」
――誉めてイジッてフォローしての繰り返しで。絶対にキツめのツッコミを入れたらいけない人なんですよね。
「ハハハハハハ! ちゃんとわかってる(笑)」
――でも、ちゃんと大人になりつつある感じがしました。ちゃんとアホな部分も残しつつ成長して。
「このまま変わらないで……〈変わらないで〉って言われてるのに変わらなきゃって思うときもあったので、変わらないでいようと思います」
――焦る必要は何もないですよ。ぜんぜん大丈夫です!
「はい!」