ヤンソンスがバイエルン放送響のシェフの座に就いて早や15年、あのクーベリック時代に匹敵する長期政権となった。着実にブルックナー交響曲録音を重ねてきたヤンソンスにとって、初の第8番のディスクがバイエルン放送響との演奏となったのは、実に意義深いことと思う。入念な音響設計を音楽の流れの中で展開していくヤンソンスの流儀はゆとりさえ感じさせ、一方で細部を丁寧に混じり気なく透かし彫る。アダージョ楽章での頂点へ至る筆致は実に美しい。約81分をディスク1枚に収録、SACDハイブリッド盤が用意されているので、バイエルンのバランスの取れた高機能ぶりがより質感豊かに愉しめる高音質で堪能したい。